第8回
住宅設計の依頼先の考え方(1)
土地の売買、登記、地盤調査など行うと同時に、もしくはそれ以前に、家の設計をどこに依頼するか、を考えなくてはなりません。この章では、代表的な依頼先である「ハウスメーカー」「工務店」「設計事務所」の、それぞれの特徴とメリットを解説します。
建築家(設計事務所)との家づくりの特徴、メリット
ありきたりの既製品とは違う、こだわりの住宅の設計を希望されるのであれば、選択肢としては「設計事務所」「建築士事務所」が一番の近道かもしれません。
設計事務所とは、一般的に、一級建築士、または二級建築士、木造建築士の有資格者が運営する事務所で、工事を行う工務店や施工会社とは別の組織体になり、住宅の設計と工事監理を専門に行います。建築家に設計を依頼するメリットと特徴をご紹介します。
1.敷地条件や予算などにも柔軟に対応できる
建築家との家づくりのメリットは、やはりその柔軟な対応力でしょう。100%建て主のオーダーメイドとなるため、打ち合わせを重ね、要望をまとめ上げたうえで、ゼロから具体的なプランをつくります。
また、狭小地、旗竿地などの厳しい土地条件においても、建築家ならではのノウハウでクリアできるケースもあります。予算が限られているなどのコスト面においても同様です。
とはいえ、建築家の作風や考え方はさまざまですので、よく検討した上で、ご自身に合う建築家を選ぶことが大切です。なお、ハウスメーカーや工務店と違い、ゼロからつくる家づくりとなるため、竣工までに1年近くかかると考え、余裕をもった計画を行いましょう。
2.設計と施工は完全分離。工事監理も建築家の仕事
建築家との家づくりのほとんどが、完全分離となります。建築家が設計を行い、施工については別途工事請負契約を結んだ工務店・施工会社が行うというものです。
施工会社は建て主が手配するケースもありますが、ほとんどは建築家側が手配をします。
また、きちんと工事がなされているかチェックをする「工事監理」についても建築家側で行います。工事監理は家の完成を左右する重要な仕事。図面通りに工事が進んでいるかなど、第三者の立場で工事現場に足を運びチェックをしてくれるので、心強いでしょう。
工務店との家づくりの特徴、メリット
工務店との家づくりの特徴は、設計から施工まで一貫して行えるということにあります。工務店の数は非常に多く、規模も少人数から従業員数が数百名もいるところまで千差万別。
そのうちの大半は代表者と数名の大工、そして事務員という小規模経営の工務店です。大規模と違い、機動力やきめ細やかな木工事など、腕のよい大工さんなどがいるような、地元で評判がよい、クチコミサイトなどで評価の高い工務店を選ぶとよいでしょう。
1.設計から施工まで一貫した家づくり
工務店には、設計から施工まで一貫して家づくりを依頼できます。この場合注意をしたいのが、工事監理の体制。工務店の現場監督や親方などが行うため、まれにチェックが甘い場合も。施工側に都合のよいチェックになっていないか、都度確認をしていくことも必要です。
2.地元工務店ならではの対応力
現場に近い「地元の工務店」であれば、なにかあった時でも素早い対応が期待できます。また引き渡し後についても同様、身近に信頼ができる工務店があるというのは心強いものです。末永く付き合える工務店を地元で選ぶのも工務店を選ぶメリットのひとつでしょう。
3.建て主の希望に合わせた自由なプラン
木造の在来軸組工法(ガイド該当ページにリンクつける)を得意とする工務店が多いようです。基本的には建て主の希望に合わせて設計いたしますが、デザインや見栄えについては、工務店側の施工のしやすさが優先されてしまうことも。最近では多様化する住まいのニーズにこたえるべく、新技術やフランチャイズ方式の企画商品などを導入し、設計や提案に注力しているところも増えてきています。