第10回
ラフプランの作成を依頼する
オープンハウスやモデルハウスなど、実際の建物を見学したら、依頼先選びも終盤です。前編では、気に入った会社何社かに同じ条件でラフプランと見積もりの作成を依頼する方法を、後編では設計契約、監理業務についての契約の方法を解説します。
ラフプランの作成を依頼する
いよいよ家づくりのパートナーを決める最終段階となりました。いままで何社もお会いしているかと思いますが、ラフプランについては、3~5社程度に絞り込んで依頼をしましょう。ハウスメーカー、工務店、そして建築家(設計事務所)と業種自体が絞り込まれていないとなかなか選定することも難しいため、業種自体を絞り込んでおくとよいでしょう。また失礼がないように、他社にもプラン作成をお願いしている旨をきちんと相手方に伝えた上で、土地の条件、新居への希望、予算など、同じ条件でオーダーするようにしましょう。
理想のプランに近づけるためには、現地に足を運んでもらうほうがベター。日照や住環境など、資料では伝わりにくいことなども現地に赴いていただくことできちんと伝えることができ、逆に「プロの目」を通してはじめてわかることもあるからです。
プラン、見積書作成依頼時に準備をしておくもの
一般的にはラフプランの作成は初回無料、建築家(設計事務所)と契約に至らなかった場合に別途約10万円程度をお支払するというのが相場のようです。提案される内容や条件によって有料となることがありますので、必ず事前に確認をしましょう。
- 1.敷地図のコピー
- 2.敷地の写真、住所
- 3.地盤状況(すでに地盤調査を行っている場合はその内容を、地盤調査を行っていない場合は、役所や不動産会社からの情報を。着工前には必ず地盤調査を依頼しましょう)
- 4.本シリーズ第1回でご紹介した家族のプロフィールシート
- 5.本シリーズ第1回でご紹介した新しい家での希望シート(要望)
- 6.希望する間取りのイメージ
- 7.雑誌の切り抜きや写真など、インテリアや室内、外観デザインの参考になるもの
約2~4週間ほどでラフプランと概算の見積もりが提出されます。ラフプランと概算見積もりは必ず説明を受けましょう。一見するとこちらの要望が反映されていない、ということもあるかもしれませんが、別の視点からの解決方法がプランに反映されていることもあります。家づくりは長い道のりです。プランの提案内容、見積もり、そして人柄と対応力、これらを総合的に判断して、パートナーを決めることをおすすめします。
建築家O-uccinoでは、インターネットを通じてプラン相談を無料で行うことができますが、具体的なプランを作成していただく段になったら直接建築家とお会いして、作品だけではない、人柄や対応力なども視野にいれて検討していただくことをおすすめしています。特に建築家(設計事務所)との家づくりは、ハウスメーカーなどの既製品と違い、ゼロからすべてつくっていく、という長い道のり。建築家の経験・対応力、人柄など、実際にお会いしてみないとわからないことが、実はとても重要なのです。
初回面談からラフプラン作成までの流れ
当事務所では、メッセージや電話でのお問い合わせ後に、直接お会いしてお話を伺います。ご要望、ご予算、イメージ、趣味などをお聞きしながら、2~3時間お話させていただきます。その中で建築洋書などの実例写真を見ていただきながら、目指すべき空間の雰囲気や感覚を共有していきます。それはお施主様のイメージをそのまま形にするのではなく、イメージされている以上のもの、つまり、「空間の質」「雰囲気」「感覚」を作り出すためです。
その際、土地などの資料をお持ちでしたら、お見せいただきます。ここまでのご相談については特に料金は発生しません。次に、お伺いしたご要望や敷地の資料を基に、現地視察・法的調査・役所事前協議などの諸条件の調査を行います。調査後、内容を調整し、ラフプランの作成を行います。
ラフプランは、平面図、立面図、断面図が中心となりますが、できればお時間をいただき、模型をつくりながらラフプランを詰めていくようにしています。建築は3次元ですので、模型をつくりながら考えることで、2次元の図面やスケッチではわからなかった新たな発見があり、よりよい案へと進んでいくと考えています。ラフプランでのお打合せ後、ご依頼頂くかをご検討いただきます。
なお、残念ながらご依頼に至らなかった場合については、プレゼンテーションの資料を回収させていただき、費用として5万円ほどいただくこととしています。設計契約していただける場合は当然こちらの費用は設計料に含まれます。
建築家・井戸健治さん