第12回
基本設計図書について
契約が済み、今まで打ち合わせをしてきた内容の集大成となる「基本設計図書」を確認する段になりました。前編では配置図、後編では立面図、断面図の確認すべき内容を、建築家・神成健さんが実際に作られた「基本設計図書」を用いて解説をいたします。
基本設計図書とは
前回のラフプランの打ち合わせでおおよその方針が決まり、次に設計担当が作成するものが「基本設計図書」というものになります。これは、工事を行うために必要な図面類と仕様についてまとめたもので、この基本設計図書を元に実施設計図書がつくられます。
この基本設計図書はとても重要な書類で、住宅ローンの申請、各種申請時に必ず必要となるものですので、設計担当者にしっかりと説明いただくようにしましょう。
平面図・配置図について
平面図は間取りの位置関係や動線を表す基本的な図面で、各部屋の用途や形状だけでなく、柱、筋かいなどの構造上の情報も盛り込まれています。 配置図は、敷地内の建物の位置を示した図面で、周辺や隣地との関係や高低差などもチェックできます。日照、プライバシーへの配慮などもこの配置図・平面図で確認ができます。ラフプランの段階で、「間取り」「部屋の用途や形状」だけでなく、建築家に伝えたことがしっかりと内容として反映されているかどうか確認しましょう。
住宅の設計は基本設計と実施設計という2つの段階にわけられます
敷地は用途や防火地域、前面道路等より、床面積や斜線、構造など各種制限を受けます。また、気候や宅地の密集度など居住環境への影響や地盤も考慮されなければなりません。基本設計はこれらを勘案し、様々な選択肢の中から建主の要望を反映し具体的な配置・平面や断面形状、規模、構造を確定、大まかな仕上げも決め、それに応じた工事費も確認する段階です。
平面図では玄関や水周りの位置はもちろん、1日の生活の流れを想定し図面中での生活を想像してみることが重要です。ダイニングに朝日が入るか、重要な部屋は南面しているか、持込む家具は納まるか、将来年老いても使えるかなど。意味のない凹凸はコストに影響することも。
立面図では窓が隣地の窓と向き合っていないか、防犯上問題ないか、窓はきちんと拭けるか、外壁の耐候性は?などです。大きな開口は明るいが熱負荷的にはウィークポイントになることに注意したいところです。また、屋根形状はできるだけシンプルな方が望ましいと考えます。
断面図では地盤に応じた基礎の方式、1階床レベルの設定、各室の天井高や形状など。天井は高ければよいというものではなくメリハリが重要です。
建築家・神成健さん