第3回
ゾーニングについて
住まいの性能について話し合ったら、次は空間をどう使うかを考える「ゾーニング」と「間取り」についてイメージを固めていきましょう。
ゾーニングという考え方を知ろう
ゾーニングとは空間を用途別、それぞれに必要な空間の大きさを設定し、相互の関係性を見た上で、位置関係を決めていく設計手法で、わかりやすく言い換えると、おのおのの部屋の位置と広さを大まかに決めていく作業のことです。家の間取りを建築家に依頼する前に、家族でイメージをつかんでおくために、ゾーニングは家づくりの上で大切な要素となります。
1.敷地の条件から玄関の位置を考えよう
道路の方向や敷地の形から玄関の位置を決めるのが一般的。自家用車やバイク、自転車などの駐車・駐輪スペースと玄関の位置を決めます。敷地の大きさや法規制、予算などから建物の大きさの検討をつけましょう。
2.部屋の広さの割り当てとつながり方を考えよう
必要な部屋を何階に、どのくらいの広さで割り当てるかを考えましょう。広さの配分の目安は、パブリックゾーン1:プライベートゾーン1:サービスゾーン1がバランスがよいとされています。平面だけでなく、上下階のつながりや、吹き抜けを望む場合などは、そのスペースも見込んで検討しましょう。
3.第1回目の家族の要望と照らし合わせてみましょう。
こちらの第1回前編「新居のイメージをしっかりと固める」でまとめた家族の要望を盛り込みましょう。細部から全体、全体から細部を見直すを繰り返して納得のいくゾーニングにしましょう。代表的なゾーニングの例をいくつか紹介します。
- 住宅密集地に向く逆転プラン
- 明るい住まいを望むなら、日当たりのいい2階にパブリックスペースを設け、日照の悪い1階は個室をゾーニング。玄関から個室へという動線になりがち。欠点は家族とのコミュニケーションが薄くなりやすく、パブリックスペースやサービススペースから玄関(外)へ行くのには常に階段で上り下りしなくてはならないため、将来のライフスタイルを見据えた上で採用しましょう。
- 北側道路の場合は玄関・階段・LDKを一体化
- 北側に道路がある場合、北面に設けた玄関は光が入りにくく暗くなりがちです。そこで、玄関や階段、LDKを仕切りのないワンルームにして、南面のLDKからの日差しを確保するゾーニング。水廻りなども北西側に設置、2階南面にルーフバルコニーを設置。
- 上下分離の2世帯
- お互いのプライバシーを尊重するために、1階に親世帯、2階に子世帯として、空間を完全に分離しています。子世帯は外階段より2階の玄関へあがれますが、内階段を設けて、中で交流ができるようにしています。
- 店舗(教室やサロンなど)併設プラン
- サロンや小さな教室等の運営をご自宅で希望されるような場合は、このように1階に玄関、ガレージ、店舗ゾーンを配置し、店舗ゾーンはそこから出入りができるようにすることで、プライバシーを保つためのゾーニングが可能となります。
- 縦長の敷地で3階建てプラン
- 住宅密集地にある縦長の敷地。1階にガレージ、玄関、水廻り収納などのユーティリティスペースを設け、2階をプライベートゾーン、そして一番採光に優れる3階にリビングダイニングなどを設けたゾーニングです。
建築家・山岡良匡さん(山岡建築研究所)
ゾーニングや間取りを考えるのに必要なのは、生活のかたちを大切にすることです
山岡建築研究所の建築家・山岡良匡さん。
ゾーニングや間取りを考えるうえで大切なことは、「生活のかたち」を要望をしっかりと考えることです。休日は家でゴロゴロしたい、子育てが楽しみでお風呂が好き、植物や花を育てたい、ペットを飼いたい等たくさんあると思います。敷地条件や予算を調整しながら、間取りを考えていきましょう。住まいは日々の生活を満たすことはもちろんですが、ちょっとした工夫で豊かさがプラスされます。私たち設計者は、そんな住まい手の「生活のかたち」や「要望」を切り取り、設計していきます。たとえば、小さなお子さんがいるのであれば、回遊動線やロフト採用して秘密基地の趣をプラスしよう、など。ぜひご相談ください。
土地の形状や環境、家族のライフスタイルによりゾーニングは大きく変わってきます。家族でしっかり話し合うことで、納得のいくものに近づきます。