相見積りの見方
基本設計でプランが決まり夢が膨らみ、実施設計で細かい部分が現実的に見えはじめ、そしていよいよ大詰めとなる、工事の金額を決めるための相見積りをとる段階になります。大事な工程ですが、夢から現実へ引き戻される作業でもあります。この章では、建築家・渡辺ガクさんより、そんな不安を少しでも解消できるアドバイスをいただきました。
1.どこに依頼をするのか?
まずはどこの施工会社へ見積りを依頼するか?という点がスタートラインになるでしょう。この時点でお付き合いしている建築家の紹介というのが一番信頼性はあると思います。なぜなら建築家との付き合いのある施工会社は、ある程度難易度の高い施工も可能でしょうし、既製品以外の見積りもりの取り方も慣れている点があげられるからです。
その他は、建て主側から「ここの工務店を使いたい」というようなご親族、身内の方があげられると思います。ここで一番注意していただきたいのは、身内だから安くなるという思い込みはトラブルの原因になることもあります。また何か不具合があってもクレームを言いにくいという点もあると思います。その場合はまずは建築家に相談し、一度会って打合せをし、施工事例などを見てもらい、技術的に問題がないかを確認してもらうことをおすすめします。見積りも数社とる場合は、その金額だけで評価するのではなく、その内容が重要になります。
2.「施主支給」を嫌がる工務店もあります
建築家と家づくりをしていれば、その内容は建築家の方でチェックしてくれますが、そうでない場合は、比較する事が難しくなってきます。
項目別でも施工会社によって書き方も違いますし、経費の取り方も違います。工事別内容でもなんでも一式、一式、と記載してある見積りもりは信頼性が乏しくなります。俗にいう「どんぶり勘定」といわれる悪い例の見積りもりです。
建て主でも単純にわかるのは、基礎などの単体工事や、設備や照明器具などの個数などは各社比較しやすかもしれません。また昨今では施主支給という方法もありますが、この場合注意が必要なのは、施主が買ったものを現場で必要となる時期まで誰がどこで、保管するか? また搬入は誰がするのか?という点も相談しておかないと施工会社とのトラブルになるケースもあります。また支給を嫌がる工務店もあります。
そのあたりは事前に相談し、引き受けてくれるかどうかも判断のひとつになると思います。
3.建てて終わりではなく、建てた後も大切
工事費というのは一番大事な要素のひとつであるのは確かです。1円でも安く、というのはみなさん共通の思いだと思います。ですが建築は建てて終わりという事ではなく、建てた後の方が重要です。
そういった意味でもまずは各社の会社へ行き、社の雰囲気や、アフターの対応の方法などを直接聞くという事も重要になってくると思います。 この会社なら長く付き合えるかどうか?が最終的に判断のポイントになるのではないでしょうか。