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大型リフォームは増えるのか? 工事費と住宅購入費 一括ローンで普及に弾み

2011年3月11日掲載

拡大が確実視されるリフォーム市場。件数だけでなく、施工単価の上昇は見込めるのだろうか。?拡大?の中身を探る。 従来、リフォームと言えば『手直し』の意味合いが強い。設備機器の修理、更新のために貯蓄を切り崩し、費用をねん出するといった具合だ。  国土交通省がまとめた「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」21年度下半期版における、住宅に係る個別工事件数の分布によると、500万円以上の工事件数の割合は全体の2割強にとどまる。

あえて選ぶ中古

だが、一部では変化の兆しを指摘する声が聞こえる。一般社団法人日本増改築産業協会(ジェルコ、東京都中央区)の米光一朗事務局長は、「統計として把握しているわけではないが、リノベーションを始め大型リフォームが増えているのは確実」と話す。 背景には、新たな中古需要の開拓がある。「従来であれば新築を買っていた層が、あえて中古を選んでいる」と話すのは、エイム(埼玉県川口市)の西生建社長だ。同社は中古購入希望者に対し、インスペクションからリフォーム、仲介、保証に至る一連の流れをまとめて提供する異業種連携ネットワーク「リニュアル仲介」を、09年秋から展開中。現時点で約30件の引き渡しを終え、更に、国交省による10年度既存住宅流通等活性化事業に採択された案件の工事が今月末までに30件ほど完了する見込みだ。リフォーム費用の平均は約600万円。1000万円以上を費やした事例も1割に上るという。「以前は、『新築に手が届かないから』中古を購入する人が大半だった。だがリニュアル仲介の利用者は、リセールバリューの観点から立地条件を優先し、積極的に中古を購入している」(西生社長)。結果的として新築より安く物件を取得し、その分リフォーム資金に余裕が生まれるというわけだ。水回り設備を総入れ替えするほか、テレビ付き浴槽など高級仕様を選ぶ傾向が強いという。

建築エスクローを適用

こうした動きを後押しするのが、リフォーム費と住宅購入費を一本化したローンの登場だ。リフォーム専用ローンは一般に、無担保融資のため金利が4?6%程度と高く、返済期間の設定も短め。融資金額は500万円以下の場合が多い。敷居の高さから、自己資金で可能な範囲の工事で済ませざるを得ない側面もあり、大型リフォームの普及を阻む一因と指摘されてきた。 これに対し、ERIソリューション(東京都港区)は10年夏、リフォーム費を含めた住宅ローン制度「すまいとマネープラン・リノベーションタイプ」の提供を開始。建築資金出来高支払い管理(建築エスクロー)の仕組みを、リフォーム工事に適用したものだ。同社が第三者の立場から工事状況を確認、施主と金融機関に報告することで安心を担保し、一括融資を実現した。 ジェルコは、同制度とインスペクション、履歴蓄積、瑕疵担保保険をセットにした「ONE・STOP大規模改修ローン」の販売を10年10月から始めている。中古を購入するケースに限らず、ローン残債がある住宅に居住し、かつリフォームを検討している世帯の需要を見込む。ジェルコによると、過去の金利が高かった時期に住宅ローンを組んでいた場合、「ONE・STOP?」に借り換えることで、返済期間は延びるものの月々の支払い額を減らせる場合もあるという。前述のリニュアル仲介では、買主が希望する内容のリフォームを売主が行い、完了後に引き渡すことで売買代金にリフォーム費を組み込む工夫をしているが、「最近は『すまいとマネープラン』を利用する買主も増えている」(西生社長)という。 同制度が利用可能な金融機関は現時点で2行のみだが、「今後提携機関を増やしていきたい」(ERIソリューション)考えだ。このほか、仕組みの違いはあっても、リフォーム費と住宅購入費を一本化したローンは地方銀行を中心に増えつつある。中古市場拡大につながる大型リフォーム。その普及を促すローン商品の動向に注目したい。
【リフォーム・リノベーション】

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