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「ハ会」最終回 住生活基本計画のパブコメ議論 仲介取引に選択制を

2011年2月18日掲載

不動産・建築業界の有志が集まり、住宅市場の今後について議論するプロジェクト「ハ会」が2月15日、5回目のシンポジウムを開催した。中村哲治民主党参 院議員を特別ゲストに迎え、住生活基本計画の変更に関するパブリックコメント(国土交通省が募集、2月16日に終了)の案をまとめた。

同会は10年6月から、中古・新築・賃貸・都市をテーマに据えて計4回開かれた。会場へ足を運ぶ以外に、インターネット環境があれば、ツイッターや動画視聴によって誰でも参加できる手法を取ったことで話題を集めている。 討論は、不動産コンサルティング会社さくら事務所の長嶋修代表取締役による「(計画の)全体像が見えない」との指摘から始まり、そこから『ビジョンを作る主体』について話題が広がる展開に。中村議員は、「時の(国土交通)大臣に、住宅・不動産分野に対するこだわりがあれば、政策が一気に進むこともあるだろう。だが、国交省が管轄する範囲は道路を始め多岐にわたる。就任する大臣が皆(住宅・不動産に)精通しているとは限らないし、こだわりを持っていることが必ずしも良いというわけでもない」と、省内の事情を説明。また、「(法律を整備するだけでなく)我々議員がマニフェストに書き込み、国民の信を問う手法もある」と話した。 このほか、現行内容に対する指摘として、「国民の4割が賃貸住宅に居住しているにもかかわらず、その維持管理や修繕に関する項目がない」(矢部智仁リクルート住宅総研所長)、「『良質な』『適切な』といった言葉が多いが、それらの概念は国民の間で共有されていない。生活様式の多様化を前提とするべき」(佐々木龍郎・佐々木設計事務所代表)といった声が挙がった。 ■両手を禁じる「オープン」 売主によっては「クローズ」も 具体的な変更点については、数字を示す案が複数出された。新規供給数と中古住宅数を合わせた住宅総量の目安や、「20年までに中古市場倍増」を掲げる新成長戦略を踏まえた、中古住宅流通数の目標値の追加などだ。 それらを実現する方策として、仲介市場の整備にも言及。当初は「物件囲い込みの罰則強化」案が示されていたが、ツイッター上で「選択制の導入」が提案されると、これにパネリストの支持が集まった。一般・専任・専属専任の媒介方式を廃止したうえで、両手仲介を禁じる「オープン型」、または、両手か片手かを問わず情報公開を制限する「クローズ型」を、顧客が選ぶもの。中村議員は「このような発想が省内から出てくることは考えにくい。パブリックコメントは個人でも応募できるので、こうした意見をどんどん出して」と呼び掛けた。 また、教育施策を巡っても議論が盛り上がった。「この場でいくら叫んだところで、担い手がいない」(佐々木氏)の一言がきっかけだ。大学の建築学部に不動産と金融の科目を新設する案のほか、「街並みをつくるのは住民。初等教育から、(関連した授業を)取り入れてもいい」(清水千弘麗澤大学経済学部准教授)という意見も出た。 ハ会は今回で終了。ただ、書籍など何らかの形で今後も活動を継続する可能性もあるという。 
【リフォーム・リノベーション】

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