東日本大震災 戦後最大の被害 死者・不明者1万8000人超 原発事故 電力不足が首都圏直撃
2011年3月26日掲載
3月11日、東北地方から関東地方を襲った東北地方太平洋沖地震は、世界最大規模(マグニチュード9.0)、わが国では1000年に1度の超巨大地震であったことが判明。大きな地震動と大津波は、戦後最大の犠牲者を出す、東日本一帯を巻き込む激甚災害・東日本大震災に発展した。その激震と津波の直撃で、東京電力福島第1原子力発電所事故が発生。それに伴う避難者が10数万人規模で出るなど、想定を超える初めての事態ばかりが連続して起こる。原発事故は懸命の対策作業が続くが、19日正午現在、終息はしていない。 震災被害の全容は不明だが、警察庁の調べによると、死者・行方不明者は3月19日現在、岩手、宮城、福島の東北3県を中心に茨城、千葉、東京までの広い範囲で1万8000人を超える大惨事となった。被災地では現在も被災者の救援作業が続けられ、支援活動の体制もようやく整い始めた。支援が被災地の隅々まで行き渡り、1日で
業界に深刻な影響 「東京の頑張りが被災地の復興に」
- 今回の震災が、住宅・不動産業界に大きな影響を与えることは必至だ。特に、東京電力の「計画停電」による経済活動の縮小、原子力発電所の放射能漏れによる心理的不安感は、市況低迷の大きな要因となりそうだ。
しばらくは空白期間に
- 住宅ジャーナリストの櫻井幸雄氏は、「回復基調が継続していた住宅業界だが、今回の震災で市況が全く読めなくなった」と話す。「しばらくは空白期間になりそうだ」と業界に我慢の姿勢を促す。 業界内でも、これまで経験したことのない状況に対し、戸惑いと不安の声が数多く聞かれる。「交通の乱れで、社員の2割が出勤できない。幹部社員だけ出社させ、3月末まで会社を閉めるのも一考」(都内のマンション会社)。また、北関東エリアを主力としている会社では、「鉄道の影響で、社員の出勤率は2割(3月14日時点)。3月の追い込み時期に非常に苦しい」と話す。 地震発生直後の土曜・日曜のモデルルームの来場者が、これまでの3分の1程度に減ったと話す中堅クラスのディベロッパーは、「新規の販売についても白紙に戻す」といった状況だ。
海外からの需要 原発で低迷か
- 国内だけでなく、海外からの需要低迷を懸念する声も聞かれる。ファンド事業を展開している都内の会社では、「海外投資家に対しては、これまでだと日本の政治状況をまず説明し、それに基づいた賃貸市況の健全性をリポートしていた。今後は、地震と原発問題、そしてそれに基づく経済環境を踏まえ、市況の健全性をアピールしていかなければならない。非常に大きな宿題だ」と話す。 運営するサービスアパートメントのうち、外国人利用者が30%を占める会社でも、「原発が怖いといった理由でキャンセルが相次いでいる。稼働率の低下が心配だ」と不安を募らせる。 また、被害地域への心情的配慮といった視点から、自主的に営業活動を控える動きもある。都内のワンルーム会社では、今週(14日の週、以下同じ)末まで新規営業を自粛することに決めた。また、まもなく引き渡しを迎える物件で、被災者の一人が契約者のなかに含まれていたところ、話し合いの上で契約を見送ることにしたという。 そのほか、東京・城西エリアをメーンとする販売会社でも、「今週末まで現場の営業を中止する。また、仕入れ案件も3現場ほどあるが、少し様子を見ようと思う」と話す。 現代社会の?血液?とも言えるガソリン。それを求めてガソリンスタンドには車の長蛇の列ができているが、不動産会社の営業車両もガソリンの確保に追われている。ただ、「これまで1日10件はあった?飛び込み客?も、日に1件程度。車両の活躍の場がない」と嘆きの声も。
顧客の声、原動力に
- 1000年に1度とも言われる未曾有の大惨事。これら悲観的な話が目立つのは当然だ。しかし、決してそればかりではない。 「発生直後の日曜日にあった物件の引き渡しで、キャンセルも覚悟していた」と話す都内のマンションディベロッパーは、「『やっぱりマンションは強いね』と、逆にお客様からお褒めの言葉をいただいた。滞りなく引き渡しを完了できた」と胸をなでおろす。また、別のマンションディベロッパーも「これほど大きな地震(東京)でも、一切の損傷がなかった。今回の?実例?をもとに、自信を持って今後の営業が展開できる」という。 別のケースでは、契約者から「物件の引き渡しを早めてほしい」という依頼があったという報告も。「丈夫な新築物件に早く入って安心したい、というお考えのようだ」。顧客のちょっとした温かい言葉や行動が、消極的になりがちな営業活動を支える大きな原動力になっている。 「我々が東京で頑張ることこそが、仙台の被災者や福島の原発問題で苦しんでいる方々への報いになる。上を向いて張り切って事業を進めたい」。自らを鼓舞するかのように、力強く語る会社もある。
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