多様な人の集まるマンションは、音に対する感受性は各家庭によって異なり、誰もが加害者にも被害者にもなるリスクを秘めています。マンション購入やリフォームをお考えの方は、遮音・防音についても検討してみることをおすすめします。
床(仕上材:フローリング、カーペット、畳等)
フローリングに表示されるLL(レベルライト)とは、軽量床衝撃音。スリッパで歩いたり、スプーンやコップを落とした時の音。LH(レベルヘビー)は、重量床衝撃音。子供が走ったり椅子から飛び降りたりする音です。
遮音性能は、LL-45、LL-40、のように表され、数字の小さくなるほど遮音性が高くなります。従来のフローリングは、LL-60。はしを落とす音やスリッパの音も聞こえていました。 遮音フローリングは、LL-45(聞こえるがあまりきにならない程度)またはLL-40(遠くからかすかに聞こえる程度)となっています。最近のマンションは、このいずれかが規定されたものが多くなっていますのでフローリング材選択の際には確認を忘れずに行いましょう。
マンションの床は、じか張りと二重床があります。じか張りはスラブ(コンクリート床)にフローリングを直接貼るので、足音がダイレクトに階下に響いてしまいます。そこで、遮音性のあるフローリングを貼ったり、緩衝材を敷いてからフローリングを貼ります。
二重床は、床を二重構造にすることで振動がスラブに伝わる衝撃を弱め、音が階下に伝わるのを防ぎます。コンクリート床とフローリング材の間に緩衝材を敷けばなお効果的です。給排水、ガス、電気配線を自由に動かせるので間取り変更にも柔軟に対応できます。全面リフォームの際に導入すると、メリット満載。今後の工事もスムーズです。ただ、天井高が低くなるというデメリットもあります。
カーペットの床をフローリングにするには管理組合に確認が必要です。定められた遮音等級をクリアするフローリング材と施工法を選ばなければなりません。防音規定が定められていなくても2階以上の住戸では、防音性能のあるフローリングを採用するなど、近隣への騒音対策は熟考したいものです。階下の間取りを調べて、寝室の上はカーペットを敷く。隣家のリビングの横にピアノを置かない、などの気遣いも必要です。
スラブ
マンション購入やリフォームをお考えの方なら目にしたことがあるのではないでしょうか。「スラブ厚」という言葉。スラブとは、マンションの各室の床下のコンクリートのこと。床版ともいいます。子供が走り回るような衝撃音に対して、スラブが厚いほど遮音性能が高くなります。以前のマンションは、スラブ厚が120〜180mm程度で、カーペット敷きを義務づけているところがほとんどでした。しかし、最近では180〜220mmになり、2階以上の住居もフローリングが可能となりました。防音対策を考えるなら200mmが目安。広告などでも表記されている場合がありますので、要チェックです。
逆に、スラブの面積が広いと下の住居に音が振動して響きやすくなるという特性(太鼓現象)もあります。15畳以上の部屋のある高級マンションは、250〜300mmを確保するなどスラブは厚くなる傾向にあります。
マンションのスラブ厚は基本的にリフォームで厚くしたりはできないですが、スラブ厚を知っておくと、リフォームの際にどの程度遮音・防音に気を使わなくてはならないかの一つの目安になります。
壁・窓
隣から聞こえる話し声やテレビ、音楽。これらの聞こえかたは、コンクリート壁の厚さと仕上げによって大きく変わってきます。マンションの広告では壁の厚みをチェックしましょう。基準は150mm以上。厚ければ厚いほど優秀です。
内装は、コンクリート壁に直接ビニールクロスなどを貼るのがよいとされています。接着剤でボード類を貼ってしまうと、壁とボードの間の隙間で音の共鳴現象が起こり、音が大きく聞こえてしまうこともあるので注意が必要です。
防湿遮音シートや遮音下地パネルを壁に施工するのも効果的です。仕上げに吸音材を使うことによって、室内の音の響きは調節できます。
コンセントの位置も要注意。お隣と同じ場所にあると、その部分の壁が薄くなり、そこから音が漏れてしまいます。さらに盲点が、換気扇。あの開口部から音はかなり漏れていきます。防音効果のある換気口に交換するといっそう安心です。
上階層は、遠くの高速道路や強風の音がかなり響きます。窓の遮音性能にも注意したいものです。しっかり遮音をしたい場合は、防音ガラスがお薦めです。2枚以上のガラスで防音特殊中間膜を挟み込んだ合わせガラスです。
既存の窓の遮音性を高めたい場合は、マンションでは窓の外観はいじれません。樹脂などの素材でできた気密性のある防音サッシを内側に取り付けると、リーズナブルで効果的です。
防音・遮音リフォームの基礎知識
遮音とは、音を伝えないで跳ね返すこと。コンクリートやガラスなど、比重が高く厚いもので音のエネルギーを跳ね返します。対して、防音とは、音を吸収して漏らさないこと。グラスウールや繊維などの素材で吸収します。これに対して吸音とは、部屋の中での音の響きをよくすること。フエルトや厚手のカーテンなどで部屋を覆って残響時間をコントロールします。 集合住宅での音によるご近所トラブルは深刻。音に悩まされる側も不快な思いを強いられますが、クレームを付けられた方もナーバスな日々をおくることになります。
防音・遮音リフォームの種類
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