建築家オウチーノで建築家と出会い、土地探しからスタートした茨城県O様邸が着工を迎えました。こちらのページでは、O様にご協力いただき、注文住宅ができるまでの様子をくまなくレポート。これから注文住宅をとお考えの方へ建築家と施工会社からのアドバイスもあります。ぜひご参考に!
私たちが家づくりをナビゲートします!
当初は2~3年後に家が建てば・・・、くらいのお気持ちからのプラン相談からはじまった、O様邸の家づくり。土地探しからお手伝いし、約半年後に土地を購入、当初のプラン相談から、設計監理契約まで約10ヶ月。施工会社も決まり、着工がスタート。注文住宅ができるまで、このシリーズで私たちがレポートいたします!
担当施工会社:
有限会社
小宮工務店
小宮 博行さん
Vol.4屋根工事~バルコニー工事~ユニットバス設置
注文住宅ができるまでには、実にさまざまな工程があります。しかし、それらを実際に目にする機会は意外と少ないもの。そこでこのシリーズでは、これから家づくりを考えるあなたのために、注文住宅ができるまでをくまなくレポート!vol.4では、「屋根工事」編と称し、お届けいたします。
屋根工事
建て方の当日、上棟した後にそのまま屋根工事を行うケースもあります。これは、先に屋根を張ってしまえば、その後の天候に左右されずに現場が進むためです。
屋根工事では、まず屋根部分の骨組みに「野地板」と呼ばれる板材を張り、その上から防水シートを施工します[写真1]。さらに防水シートの上から「上垂木」を等間隔に設置し、その上からもう一度、野地板を張っていきます[写真2]。
上垂木を設置することで屋根の内部に空洞ができ、空気が通りやすくなることで木材の腐食を防いでくれます。
最後に野地板の上に再び防水シートを張り、その上から仕上げ材(この現場では「ガルバリウム鋼板」)を施工して屋根が完成します[写真3]。
アルミサッシの取り付け
内部工事では、まず建て方で組み立てられた柱や梁などの間に「間柱」という木材を固定していきます。
その上に合板や石膏ボードなどの下地材を張りつけて、壁の下地がつくられていきます。
アルミサッシもこのタイミングで取り付けられます。まずは「窓台」や「まぐさ」と呼ばれる、窓の枠になる部分を設置し[写真1]、その後で間柱や下地の合板をアルミサッシの大きさ分だけくり抜きます[写真2]。
くり抜かれた部分にアルミサッシを設置すれば完了です[写真3、4]。
窓は住宅の中でも一番雨漏りの原因となりやすい箇所ですので、雨水が入らないよう、注意して工事が進められます。
断熱工事
アルミサッシを取り付けた後は断熱材を施工していきます。断熱材にはいくつかの種類がありますが、ここで使われているのは、住宅用として最も広く普及している「グラスウール」というタイプのもの。袋に詰められたグラスウールを間柱の隙間に詰めて、最後はタッカーで固定します[写真1]。
断熱工事は、住宅の性能を大きく左右する重要な工程です。せっかくペアガラスの窓を設置しても、断熱材を入れ忘れたり、隙間ができたりしては性能が低下してしまいます。グラスウール断熱材の施工は難しい作業ではありませんが、こうした施工のミスがないよう、確認しながら作業が進められます。
ユニットバスの設置
浴室にも他の部屋と同様に断熱材を施工し、その上から下地となる板材を張り、部屋としてのベースがつくられます。壁や天井の下地は合板ですが、防水パンをのせる床の部分には、「ケイ酸カルシウム板」と呼ばれる白い板材が使われます。床には排水口に向けて勾配をとり、きちんと排水が行われるように注意します。
下地ができたら、ユニットバスを設置します。これで、浴室は完成[写真1]。ユニットバスは施工に手間や時間がかからず、コストも安く済むというメリットがあります。
O様邸
竣工まで約50日
ようやく屋根が終われば、室内の造作工事にはいれるので、これからおさまりの細かい打ち合わせを重ねていくことになるでしょう。
屋根工事は、野地板の下で通気をとる工事が多いのですが本案件は、屋根工事野地板を二重にすることで、空気層をつくり、断熱性能を高めています。
設計担当
K+Yアトリエ
一級建築士事務所
竹内国美・竹内由美子さん
設計側としては実は一番忙しい時期になります。現場は徐々に仕上げに向かっていきますので、だんだん後戻り出来なくなってきます。
この辺りでのチェック、調整等、現場監理は慎重に進めなければなりません。一方で設計作業は内部造作、家具の詳細図の作成がメインになりますが、現場より先行して進んでいなければなりません。
スケジュールには余裕を持って望みたいところですが実際はなかなかそうもいかず、詳細図の進行状況が遅れている場合は、この辺りで取り戻さなければなりません。設計側としてはここが踏ん張りどころです。
・屋根と窓周辺は最も雨漏りがしやすい場所。屋根の場合は、防水シートをしっかりとかぶせるように、十分に重ねて施工する。窓周辺については、防水テープや防水紙を丁寧に施工すれば、漏水事故は少なくなる。
・最近、断熱材のそのものの性能はどんどん向上しているが、施工のミスによって断熱性能が落ちるケースが多い。断熱材は隙間なく、きちんと施工することが重要。
窓の周辺など入り組んだ場所には、スプレーで部分的に断熱できる製品もある。
設計担当から一言
屋根の仕上げ材は「ガルバリウム鋼板」と呼ばれる金属の板。人気の部材です。軽量で丈夫なうえ、安価な材料で、屋根材の定番になってきています。