建築家オウチーノで建築家と出会い、土地探しからスタートした茨城県O様邸が着工を迎えました。こちらのページでは、O様にご協力いただき、注文住宅ができるまでの様子をくまなくレポート。これから注文住宅をとお考えの方へ建築家と施工会社からのアドバイスもあります。ぜひご参考に!
私たちが家づくりをナビゲートします!
当初は2~3年後に家が建てば・・・、くらいのお気持ちからのプラン相談からはじまった、O様邸の家づくり。土地探しからお手伝いし、約半年後に土地を購入、当初のプラン相談から、設計監理契約まで約10ヶ月。施工会社も決まり、着工がスタート。注文住宅ができるまで、このシリーズで私たちがレポートいたします!
担当施工会社:
有限会社
小宮工務店
小宮 博行さん
Vol.3建て方
注文住宅ができるまでには、実にさまざまな工程があります。しかし、それらを実際に目にする機会は意外と少ないもの。そこでこのシリーズでは、これから家づくりを考えるあなたのために、注文住宅ができるまでをくまなくレポート!vol.3では、「建て方」編と称し、お届けいたします。
準備・資材搬入
いよいよ建物の骨組み(躯体)を組み上げる工程、「建て方」が始まります。まずは、工場から搬入された木材を慎重に現場に下ろします[写真1]。
その後、木材の状態を確認。指定したとおりの質・本数になっているかを入念にチェックします[写真2]。
建て方を始める前に、もう1つ重要な作業として、「土台の水平確認」があります。これから柱や梁を組上げることになりますから、土台が傾いていては大変です。
柱を立てる前に改めて、土台が水平になっているかどうかを確認します。
1階柱・梁の設置
最初に立てられるのは、1階の柱部分。掛矢(かけや)と呼ばれる大きな木槌を使って、水平状態を確認しながら土台に柱を打ち込みます。
1階の柱を建て終えると、今度は梁の設置に移ります。梁は、建物に対して水平方向に掛けられる構造材。建物の荷重を柱に伝える、重要な部位です。
梁はクレーンを使って所定の位置に設置されるので、クレーンを操作する人、指示を出す人、梁を支える人など、柱を立てる時よりもたくさんの人数が必要となります[写真]。
施工会社から一言
柱は、国産杉と国産ヒノキを採用しています。日本の高温多湿な風土に合うのは、やはり日本で育った木。そんな考えで、国産のものを採用することが多いですね。
二階柱・梁
1階部分の建て方を終えると、今度は上階の柱・梁・小屋組を組み立てる作業に移ります。柱・梁は1階と同様の手順で立てられます[写真1]。
すべての柱・梁を設置したら、建物がきちんと垂直に立っているかを確認するための作業、「建入れ」が行われます。建入れは、「下げ振り」と呼ばれる道具(糸の先に円錐形の重りが付いたもの)を使って行われます。建物の垂直が確認できたら、建物がゆがまないよう、「仮筋交い」を設置しておきます[写真2]。
最後に、小屋束、棟木、母屋を設置します。
上棟式
上棟式は「棟上げ式」とも呼ばれ、木造住宅では「棟木」を取り付ける時に行われます[写真1]。
棟上げ後、棟梁が破魔矢(はまや)や扇子車(せんすぐるま)を飾り、建物の四方に酒や塩をまいて清めます[写真2]。
本来は、棟木は建物を守る神が宿る場所と考えられていたために行われた儀式ですが、現在は職人たちの労をねぎらい、この先の工事の安全を祈願する役割が強くなっています。
また、地域によっては上棟式とともに「餅まき」が行われることもあります。これは、上棟を終えた建物の屋根の上などから餅や菓子をまくというもの。近年では、建て売り住宅の普及や近所づきあいが希薄化したことから、あまり見られなくなっています。
O様邸
竣工まで約70日
木造軸組み工法は、ツーバイ工法などの壁式工法と違い、この後屋根をかけられるのがメリット。
もちろん天気予報などを見て、養生なども行いますが、比較的天候の心配が必要ない工程でのメリットがあります。
設計担当
K+Yアトリエ
一級建築士事務所
竹内国美・竹内由美子さん
建て方は家づくりの中で最もダイナミックなシーンといえるでしょう。
それまでは設計図という紙の上で進んでいたプロジェクトが、量感のある構造材となって一気に目の前で立ち上がっていく様は、やはりいつ見ても新鮮で感慨深い体験ですね。
上棟式はそれなりの体裁でおこなう場合もあれば、簡潔に済ませる場合もあります。
お客様のご要望とご都合に合わせてその都度、柔軟に対応しております。
・近年の木造住宅では、使われる木材のほとんどがプレカット材(事前にカットされ、ホゾをホゾ穴に差して組み立てる形式)になっている
・建物の水平・垂直は入念に確認する。もしこの段階でゆがんでいると、後で修正ができなくなる
施工会社から一言
弊社の現場の特長は、必ずといっていいほどプレカット材を使わずに、職人の手作業で1週間近くかけて、ひとつひとつ墨付けをして、手刻みで材料を加工している点です。
昔の現場と違い、現在は金物を多く使用しますのである程度あそびの部分があっても家はきちんと建ちあがりますが、職人さんたちの技術を今後も生かしていきたいという思いで、そのような工程を踏んでいます。