建築家・ナイトウタカシさんのブログ「実体験の有無って設計士選びのポイントです」
実体験の有無って設計士選びのポイントです
2024/10/25 更新
昨日は、車いすを使う方の家づくりで
大事なポイントの一つ。
トイレについてお話しました。
役所で見かけるような広いトイレを
住宅に採用するのは難しい。。
そうでなくても、同等の使いやすさを
実現するために必要なことをお話しました。
えぇ?話がずれてる??
そんな声も聞こえてきてますが(笑)
最後にわかりますので。
今日は、もう一つのポイントとして
スロープについてお話していきます。
おそらく、あまり意識して見たことがない
なんて方が多いかもしれませんが。
段差を解消するためのスロープって
特に役所や病院等、不特定多数の方がいく
施設には設置されています。
意識して見ていただくと気が付きますが、
見た目はかなり緩やかで、距離が長い。
ちなみに。
スロープの勾配って、基準があるんですよ。
建築の法律では、1/8以下。
バリアフリー関係の法律では、1/12(1/15)以下
となっています。
1/8ってどんな勾配かというと。
8m横移動する間に、1mあがるという意味です。
その数値だけ聞くと、かなり緩やかな印象を
受けるかもしれません。
でも。1/8勾配って、かなりきついですよ。
自走式の駐車場って、使ったことあります?
あの車路の勾配って、どれくらいだと思います?
基準は1/6以下で、1/8が推奨されています。
体感のある方でしたら、わかりますよね。
その勾配って、かなりきつくないです?
歩いて移動するのであればよいのですが、
車同様に、車いすでの移動って考えると。。
上るのも下るのも結構大変なはずです。
ただ。
バリアフリー関係の法律では、さらに緩くて、
1/12とか1/15を推奨しています。
だったら、1/15にしておけばいいじゃない。
なんて、サラッと思うかも知れません。
仮に、50cm段差があるとして、1/15だと、
平面として7.5m長さのスロープが必要です。
住宅の敷地で、7.5mを直線で確保するって
ひと筋縄ではいきません。
駐車場の奥行で、5-6mで、スロープ前後には
踊り場が必要なので、それ以上になります。
それと。勾配を1/15にするとして。。
その勾配って、適正だと思いますか?
法律で設定してるから、いいんでしょう?
って思うかもしれません。
実際に、車いすでその勾配を昇降するとわかります。
介助がいれば別ですが、自走だと、かなり厳しい。
距離が長くなればなるほど大変ですから。
説明が長くなりましたが。。
車いすとか、介助の経験がない設計士だと、
実際に、どこに困って、何が大変なのか、
どこをどうしないといけないのかって、
わからないんですよね。
一般論で構成したからといって、適切には
なりません。
実体験があること。
それって、設計士を選ぶ時、大事にした方が
よいと思います。