建築家・ナイトウタカシさんのブログ「地震に強い家にするには?⑥」
地震に強い家にするには?⑥
2023/05/01 更新
昨日は、詳細な構造計算についてでした。
簡易計算よりは、根拠がしっかりしてますよ。
そんなお話しでしたよね。
次のお話しにと思っていたのですが、
ご質問いただいたので、補足しておきたいと思います。
質問の概要は。
「構造計算すれば安全なんですか?」
という内容。(かなり端折ってますが)
この質問への回答として、二つの側面からの視点が必要です。
一つ目。
詳細な構造計算するだけでいいのか。
という意味。
詳細な構造計算をすることで、根拠はハッキリしますよね。
ただ。
構造計算をするにしても、設計者が何を大事にするのかで
実は大きく違ってきます。
そもそも。
計算しない物件が多いので、「計算していること」を優位に感じます。
「計算している」ことが目的になっているケースもあったりします。
計算していることは、もちろんいいことなのですが。。
設計者なりの基準を設けてないと、最低限の計算になったりします。
ちなみに。
私は、構造のバランスをとても重視しています。
なので、そこについては、かなり厳しい基準を持っています。
でも。
そこに拘りを持つ設計者は、ほぼいません。
それは、なぜか。
求められていないからです。
最低限でもいいのですから。
もし自分の家だったら。。
そんな考え方で基準を設定しているんです。
国の基準なんかは、最低限ですから。。
なので。
ただ、詳細設計しているからといって、安全とも言いにくいですね。
もう一つの視点。
工事についてですね。
詳細な構造計算をしたとして、結果を構造図にまとめます。
その構造図をもとに、施工者が工事していきますよね。
工事途中で、第三者の検査は入りますよ。
施工者のチェックと第三者機関のチェックのダブルチェックです。
でも。。
施工者チェックが、大工さん任せになっていたら。。。
ダブルチェックにはならず、第三者機関のチェックだけに。
(大工さんは、チェックする人でなく工事する当事者なので)
工事するのも人。チェックするのも人。
なので、完璧というのは、なかなか難しい。
もし、第三者のチェックで見落としがあったら。
大変です。
そういう意味では、私のような工事監理者が別でいると、
トリプルチェックになりますね。
(施工者抜きでもダブルチェックになります)
ということで。
計算をしたとしても、工事のチェックが甘いと安全とも言いにくいです。
ついつい長くなってしまいました。
昨日予告した内容は、明日からお話しします。