建築家・ナイトウタカシさんのブログ「外観の素材や色はカタチと同じくらい重要」
外観の素材や色はカタチと同じくらい重要
2022/12/12 更新
モノトーンでまとめた、モダンな外観デザイン。
いくつかのハコが重なっていくカタチもユニークですが、
各々の素材を変えているところも大事なポイントです。
チャコールグレーの壁。
こちらは、ジョリパットという吹き付け仕上げとなります。
コテで仕上げたような左官仕上げではなく
吹き付けなので、フラットというよりは、少し粒状になります。
ただ、外壁は近くで見ることがあまりないので、
小粒タイプにすれば、ここまでのフラット感を出すことはできます。
ちなみに、最近は、グレイッシュな外壁を多く見かけますが、
全体的に、もう少しトーンは明るい感じです。
こちらの家は、どちらかというと、少し濃いめ。
黒い他の素材と組み合わせたときに、コントラスト強すぎず、
全体的に、重厚感もありますね。
上部に使っている黒い外壁は、ガルバニウム鋼板。
よく御覧いただくと、フラットな横パネルと、縦リブで分けてます。
フラットなのか、リブなのかで、表情に大きな違いがあって、
ハコが折り重なる印象が、より強くなっているようです。
同じ家の玄関ポーチになります。
左側が、ジョリパットの吹き付けです。
二枚目で見ると、少し粒感が出ているのがわかっていただけそうです。
そして。
右側に採用しているのは、Solidという製品。
簡単にいうと、表面に塗装等で仕上げていない、セメント板ですね。
その板を瓦のように積み重ねて仕上げとして使っています。
現場の到着した時点から、一枚ごとに、色合いが違っていて、
その表情には、ムラがあります。
それは、塗装で作り出したのではなく、白華という自然現象で
できあがる表情なので、一枚として同じものがないがゆえに、
これだけのムラ感が出る素材です。
こういったムラの感じは、ここ数年、すごく人気があるので、
外壁全体に採用されることも多いようです。
もちろんそれも一つのやり方ですが、こちらの家のように、
アクセントとして一部に採用する方が、その良さが周りとの対比で
引き立つかなと思います。
いきなり明るくなりましたね(笑)
真っ白でミニマルなデザインの外壁。
パッと見ると、フラットな塗り壁みたいなのですが、
実は、そうでもありません。
フラットな窯業系サイディングを、横目地通して張っています。
欲見ていただくと、横に目地が入っていると思いますよ。
目地のないフラットな壁もきれいなのですが、
目地自体をデザインの一要素として取り込めば、
それはそれで美しいですよ。
そうそう。
窯業系サイディングというと、〇〇風といったように、
何かの素材に似せたものが多いのですが、
こちらのように、フラットな板として使えば、
ミニマルなデザインに仕上げることができますね。
外観は、カタチと同じくらい、素材や色合いが、
見え方に大きく影響します。
いろんな事例を見ながら、自分の好きな素材を取り入れて、
自分だけの家づくりをしていただけたらと思います。