建築家・ナイトウタカシさんのブログ「外観のデザインって、いろいろあります!」
外観のデザインって、いろいろあります!
2021/09/03 更新
直線で構成されたミニマルなデザインの外観。(一枚目)
ハコ型が組み合わさることで、変化が生まれています。
少しグレーの入った白なのですが、ちょうど光が差し込んでいるので、
真っ白な印象ですよね。
外壁は、塗り壁にすることで、ラインを消して、ミニマルさを演出しています。
こういったモダンなデザインは、時代で、色合いに変化はあるものの、
流行り廃りがなくて、いつの時代に見ても、新鮮さを感じることが
できるのが魅力かなと思います。
ただ。
あまりシンプルにまとめすぎるとユニークさが消えてしまうため、
その辺はしっかりと考えるといいのではないかと思います。
二枚目は、いわゆる洋館ですね。
一枚目のミニマルなデザインとは、ある意味逆行します。
ラインを消すというよりは、ラインを重ねていくことで、良さが生まれます。
1階と2階の間や窓周りや壁と屋根との取り合いにあるにある
帯のようなもの(モールディング)によって、ラインを重ねていくことで、
洋館らしさが表現されています。
手摺に装飾的なアイアンを採用しているのも、一つの要素です。
特に、女性に人気のある、上品なデザインですよね。
こちらも、流行とは無縁で、とてもスタンダードなデザインゆえに、
いつの時代に見ても、愛されるんだろうと思います。
カタチだけでなく、素材とか、色合いも重要な要素で、
組みあわせ方次第では、全く別のものになったりすると思います。
また、装飾を重ねすぎると、派手さが目立つだけなので、
その辺のバランス感覚は、とても重要だと思いますよ。
三枚目は、ご覧の通り、和をベースにした和モダンですね。
(少し変な言い方しましたが、モダンをベースにした和モダンもあるので)
深く軒を出して、桐妻と片流れの屋根を組み合わせています。
こういった和モダンがお好みの方は、いつの時代にもいらっしゃいます。
柱や梁を見せて漆喰を塗ったり、杉板を張ったりすることで、
より和の強い家にすることもできますね。
ただ、和といってもいろいろありますね。
書院造みたいなカチッとしたもの、古民家みたいなもの、
町家だったり、数寄屋だったり、結構、振れ幅が大きいかも。
よく、軒のラインを細くするとかっこいい
なんて話もありますが、古民家のような雰囲気を目指すのであれば、
細いよりは、ドシッとした太さがかっこいいと思います。
家の外観って、いろんな見せ方があります。
自分たちの一番好きな、自分たちらしい見せ方をしていただきたいです。
ご存じの方が多いかもしれませんが、
こちらでご紹介した家は、全て、弊社の設計によります。
「らしさを引き出してカタチにする」
それを基本コンセプトしているので、これだけの振れ幅を持たせて
いただいてます。
家は、無個性でなく、個性があっていいんです。
でも。
建築家のためのデザインでなく、お客様のためのデザイン
であってほしいと思っています。