建築家・ナイトウタカシさんのブログ「木造がいい?鉄骨造がいい?」
木造がいい?鉄骨造がいい?
2021/04/17 更新
昨日、とある現場で、建て方でした。
でも。
なんだか、いつもと違う感じですよね。
それもそのはず。
こちらの建物は、木造ではなくて、鉄骨造ですので。
工場で精度高く加工してきた各部材を、丁寧に組み上げていきました。
敷地内に、レッカーが入らなかったこともあって、
大変な作業になっていましたが、慣れたもんです。
鉄骨造もやるんですか?
という声が聞こえてきそうです。
もちろん。
住宅で、鉄骨造はなかなか厳しいのですが、
それ以外の用途であれば、やりたいことに合わせて、
鉄骨造やRC造もやったりしますよ。
ちなみに。
「住宅で、鉄骨造はなかなか厳しい」
これって、温熱性能のことを理解しているプロであれば、
共通の認識です。
なので。
よほどの事情がない限り、鉄骨造の住宅はオススメしません。
鉄骨造のいいところって、柱と柱の距離を大きくとれるので、
間取りの自由度が高いことと、耐震性にあります。
ただ、最近は、構造計算をしっかりする+特殊な工法を採用することで
木造でも、鉄骨造なみのことができるようになってきてます。
ただし、「普通の」木造しか知らないと、同等にはできませんが。。
そして、先ほど書きましたが、温熱の性能ですね。
簡単にいうと、断熱性能の確保が難しいんです。
鉄骨造の場合、構造の鉄骨部や基礎のコンクリート部が、
外気に触れる状況をつくってしまうと、冬場、家全体に冷気がまわります。
外断熱してるから大丈夫。
だなんて、断熱材で、全てを包み込むことができないので。。
一番のポイントは、構造の鉄骨が熱を伝えやすいことにあります。
木は、熱を伝えにくいんですよね。
木部は、少し冷えたとしても、それが中へと伝わっていくことは
鉄骨に比べると、よほど少ないんです。
冬寒いだけだといいのですが。。。。
問題はそれだけにとどまらないんですよ。
もし。
家を鉄骨造にするのであれば、いろんな構造を取り扱える
専門家に相談しながら、採否を決めることをオススメします。
家って、日常を過ごす場所ですので、
心地よく暮らしていただきたいですから。