建築家・ナイトウタカシさんのブログ「そとん壁を採用してみる!」

そとん壁を採用してみる!

2021/02/03 更新

屋根のラインが整っていてきれいですよね。(一枚目)



こちらの家。

とある工務店の現場監督の自宅なんです。



そんな監督にご指名いただいて、設計に関われたのは

とても光栄で嬉しいです。



それはさておき。

昨日、現場へ行ってきたのですが、ちょうど外壁が仕上がっていました。



木目に目が行ってしまいそうですが、そこではなくて、

グレーの外壁に注目してほしいです。



大雑把に言えば、いわゆる「塗り壁」。

左官職人が、丁寧にコテで塗って仕上げていきます。



こういう見え方のする外壁といっても、

いろんな種類があったりするんです。



例えば。

よく採用されるのは、ジョリパットという商品名の塗り壁。



いろんな表情を演出できますし、何と言っても、色の

バリエーションが、半端なく多いんですよね。



その組み合わせ次第で、自分だけの外壁を構成できるほど。

私もよく採用する素材です。



ただ。

こちらの家は、ジョリパットではありません。



火山灰からできたシラスという素材を使った塗り壁で、

「そとん壁」というものを採用しています。



仕上げ方もさほど多くないですし、色の種類も少ない。

しかも。コストは、相当高い。



それでも、監督が採用したかった訳は。。。



一つは、透湿性があることです。

内部で発生した湿気を外へ排出しやすいんですよね。

よくできた素材だなとは思いますね。



もう一つは、色ですね。

色?少ないんじゃないの??



はい。

少ないんですが、それって理由があります。



天然鉱物を原料に使った色なので、

基本的に、色あせしないんですよね。



ジョリパットも、ずいぶんと性能が向上してきて、

色あせしにくくなっていますが、天然鉱物ではないので、

長期間紫外線を浴びると色は褪せてきます。



なので。

15年に一度くらいは、塗り替えしないといけないんです。

(といっても、一部を除くほとんどの素材は、それくらいでのメンテが必要)



汚れの対処は必要ですが、退色しなくて、塗り替えが

必要ないのは、とてもいいですよね。



今回のように、白でなく、少し色のあるタイプであれば、

汚れも目立ちにくいため、メンテはほとんど必要ないです。



イニシャルコストを優先するのか。

ランニングコストを優先するのか。



その辺は、ご予算とのバランスを考えたいですね。



そうそう。近くで見ると、こんな表情です。

凸凹してますよね。



一度コテで塗った後、剣山のようなもので

表面を書き落としたんです。



独特な陰影と風合いになります。





ほんと。

いい感じで仕上がっていて、感動ものでした。





これから、こ知らの家。

急ピッチで仕上がっていきます。



仕上がりが楽しみです。

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