建築家・相川直子+佐藤勤さんのブログ「図面の読み方 ⑧ 設備図」
図面の読み方 ⑧ 設備図
2021/11/10 更新
コラム:はじめての家づくり 41|
図面の読み方 ⑧ 設備図
こんにちは。
平屋の住宅の設計経験が豊かな相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。
丁寧な打合せで、みなさんの夢を叶えます。
柏市の建築家としても家づくり設計活動中です。
リフォーム・リノベーションの設計依頼をお待ちしています。
このブログでは、これから家づくりをなさる方たちに向けて、注文住宅の情報を提供するとともに、設計事務所に頼もうかどうかの検討材料を提供しています。
ご一読いただき参考にしていただけましたら幸いです。
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さて、図面の話も最終章です。
今回は設備図のお話です。
実は、これがとても重要で、SNSなんかで語られる後悔ポイントとして設備の話が多く出てきます。
ユニットバスの場合の浴室窓のあるなし問題やコンセント足りない問題などどれも「設備」の問題です。
設備って何?
設備とは、コンセントやスイッチ、照明などの電気設備、
エアコンを含めた給気、排気、24時間換気などの空調換気設備、
そして、上水道、排水、トイレ、お風呂などの給排水空調設備などがあります。
ホームエレベータやAVルームなどもあれば設備として検討することになります。
これ以外にもネット環境の進歩や電気自動車の普及など新しい技術や規格、製品が毎シーズン発表されています。
私たちも毎年建材や新製品の見本発表会などには顔を出すようにしています。
ここにきて、色々と現実的に導入を前提にすべき項目が増えているように思います。
新型コロナの影響で生活様式の見直しを促されてもいます。
在宅勤務の今後も住環境に携わるものとして考えていきたいと思います。
さて、一つずつみていきましょう。
① 電気設備図
図面形式としては平面図です。
平面的に、前面道路から敷地内のどこにどのように電気を引き込むかに始まります。
引き込まれた電気はまずは分電盤に引き込ます。
分電盤は、機能や電気の量によってサイズも様々ですが、巨大化しつつあり、かつ、おしゃれになってきました。
昭和の木賃アパートの玄関ドア上にあったブレーカーのようなイメージは全くありません。
太陽光発電など売電をする場合や電気の使用量を詳しく確認するパネルなど、分電盤でできることが増えてきています。
その分電盤から各部屋に電気が行くわけですが、コンセント、照明、スイッチだけではなく、地上波、衛星波、ケーブルのTV線や電話線、LANなど少し前には考えられなかった量の配管設備が必要です。
スイッチ類もセンサー付きや取り外してリモコンにできるものや、wifiを使ったスマート家電への対応も増えています。
スマート家電は自宅で試していますが、設定も簡単ですし、できることも多く、今後ますます増えていくとだろうという実感があります。
他にもHDMIのケーブルを延長するために壁内にセットしたり、ムーディーな演出も可能な照明コントローラーをつけたり、どんどん一般的になってきています。
そうした諸々を計画、検討した内容を建主さんと情報共有するためと、施工者である現場に伝えるために必要な図面が設備図となります。
私たちの事務所では、設備図でコンセントやスイッチの位置が決まると、展開図に書き込み、位置や取り付け高さの確認を行います。
ちょっとしたことでしかないですが、毎日のちょっとした不便はストレスになります。
それは避けたい。
② 空調換気設備図
住宅の屋内空間の空気の質について計画、検討した結果を記述したものが空調換気設備図です。
エアコンの屋内機と室外機を検討し、給気口と排気口、換気扇の計画・設計をします。
換気計画に合わせて、建具のドアの下をカットして通気ができるようにしたり、ガラリをつけたりも検討します。
最近は建主さんからエアコンのコンセント位置の指示をもらったりします。
エアコンの自力の掃除機能など高性能化がどんどん進んでいて、皆さんの関心が高い家電の一つです。
壁にエアコンのスリーブ穴を開けるのはどこにでもできるわけではないので、意匠設計の途中で何度かエアコンの取り付け可能位置を確認したりします。
これは筋交があったりするとそれを切断できないので調整が必要になりますし、耐力壁の場合開けられる穴の大きさに限りがあるからです。
③ 給排水衛生設備図
衛生機器という言葉がありますが、洗面・トイレ・浴室用の機器の総称です。
水道は給水、排水は下水とありますが、目に触れたくないものですので、設計時からそのルートの計画が必要です。
水道のルートの先は、トイレの便器や洗面台の蛇口、洗濯機の蛇口など。
他にも給湯器に水道を接続し、給湯器からお湯をそれぞれ必要なところに届けるルートがあります。
給湯器には他にも電気とガスが必要です。
忘れると大変!
排水は地面レベルに降ろされて、下水管や枡を通りながら、前面道路にある公共下水管に接続されるのが普通です。
地味で見えにくいものですが大切です。
設備の話をいかがでしたでしょうか。
電気設備、空調換気設備、給排水衛生設備のいずれも生活の質を保証するものです。
設計者任せにするのではなく、一緒に考えてみてください。
これらの注意点については後日取り上げる予定です。
(この項了)
2021/11/10 佐藤 勤 記