建築家・相川直子+佐藤勤さんのブログ「家づくりを賭けにしない8大ポイント ⑥」
家づくりを賭けにしない8大ポイント ⑥
2021/09/01 更新
こんにちは。
都市型狭小住宅の実績豊富な相川佐藤建築設計事務所の佐藤勤です。
文京区根津でも家づくり設計活動中です。
リフォーム・リノベーションの設計依頼もお待ちしています。
家づくりを「賭け」にしないという話の最終章です。
基本は情報収集をして自分の好みを把握することです。
外観やインテリアイメージ、
住宅設備やネット環境、家具などを
想像してお伝えくださいというお話。
○
⑦引っ越し前に窓とカーテンも一度考える
みなさんと家づくりをご一緒していると
窓とカーテンは、誤解が多いことを感じます。
窓は、機能と位置、大きさのバランスが大切です。
窓の機能は、通風・採光・出入り・メンテナンス
防音、防覗、防犯などが考えられます。
これらにカーテンやブラインドを組み合わせます。
○
カーテンの役割はいくつか考えられます。
(カーテンとブラインドは後日改めてしっかり取り上げます。)
⑴ 風の視覚化
風が吹くと涼しくなったり、爽やかな気分になったりします。
そして風になびくカーテンを眺めていると、
涼しげに感じるものです。
「ああ、風が入ってくる」と。
カーテンは風を見える化してくれます。
機械空調だけの暮らしだけでなく、
暑さ寒さを感じる本来の人間らしさの生活のお供です。
風を感じましょう。
⑵ 光を反射させる
光が差し込むレースのカーテンは
まぶしく輝き、浄化してくれます。
そして、光はカーテンにより広がり、
変化し移ろいます。
そこに光が差すことを知覚させてくれます。
カーテンで窓辺が軽やかになったり、
外の景色と距離感を生み出したりします
半透明の素材感や遮光性能によって、スケール感や重心を調整する装置でもあります。
カーテンを思い切って変えると
部屋の雰囲気が変わるだけでなく
気分も変わります。
③ 上と下(かみとしも)が生まれる
カーテンによって
光が入ってくる側と射される側ができ
風が入ってくる側と抜けていく側ができます。
部屋に流れが生まれます。
視線や動きの方向性も生まれます。
そして上(かみ)と下(しも)が生まれます。
意識せずとも、
落ち着ける場所がある居室を作る為には
均一の場ではなく、
体験的平衡を揺り動かす何かが必要です。
カーテンもそうした建築を発生させるパーツのひとつです
○
カーテンは洗濯が大変だという声もありますし、
採寸に失敗した話も聞きます。
まずは、家づくり中に
一度はどんなカーテンをするか想像してください。
つまり、どんな部屋なのか?
それから、
「引っ越し後にゆっくり、まずはプロに相談し、検討する」のがオススメです。
住んでいるうちに
住まいに対する感覚も変化していきます。
ほんの数ヶ月たつだけで、見える景色が違ってきたりします。
最後の味付けを楽しむ気分でいかがですしょう。
⑧任せるか全て決めるか?
これまで家づくりを賭けにしない方法を考えてきました。
基本はできるだけ詳細にそして正確に自分たちの希望を伝える為に
どういう選択肢が家づくりであるのかという予習をしてくださいというお話でした。
しかしその以前に、家づくりの依頼先を決めたときに、
工務店やハウスメーカー、設計事務所を選択していると思います。
選ぶポイントは何でしたか?
多くの方が、ホームページやパンフレットをみて、
自分なりのシンパシーを感じた依頼先に家づくりを依頼したはずです。
デザインの好みが近いことやインテリアのイメージが
理想に近いからでしょうか?
タイルの使い方や照明のあり方に好感を持ったからでしょうか?
信頼感や清潔感、安心感や安定感など見た目そのものよりあり方、やり方に共感したからでしょうか。
いずれにしても、家づくりを任せるのにふさわしいと判断できた依頼先と
家づくりをされているはずです。
ならば、しっかりと好みや希望を伝えながらも、
あるとこから先の細かいことは依頼先に委ねるというのはいかがでしょう。
コストや全体のバランス、
重要度と耐久性など
依頼先はプロとして見識があるはずです。
インテリアイメージが共有できるならお任せもありだと思います。
次回の打合せに、
予想以上の提案を期待して
ある時点から家づくりを賭けにしてみるのも
良い家を作る選択肢として検討してみてください。
(この項了)
2021/09/01 佐藤 勤 記
次回より新章に突入、9月3日(金)に更新予定です。