建築家・相川直子+佐藤勤さんのブログ「設計事務所から考える家づくり」
設計事務所から考える家づくり
2021/05/23 更新
はじめての家づくり 11 | 設計事務所から考える家づくり
ハウスメーカーそして工務店との家づくりについてお話してきました。
今回は私たち設計事務所についてです。
夢を叶える家づくりのために
ハウスメーカーでも工務店でもなく、
設計事務所での家づくりに向く人は、
設計事務所と信頼関係が築け、
じっくり時間をかけて住まいづくりがしたい人です。
「あなたの希望」をよりよくするためのプロのアドバイスにより
結果として、希望以上の住まいを手に入れる方法となります。
では、設計事務所での家づくりの流れを見ていきましょう。
設計事務所の見つけ方
あなたにあった設計事務所の見つけ方は簡単です。
気になった建築設計事務所をいくつか見つけ声をかけてみて、
実際に話を聞いてから判断する、です。
設計事務所にもそれぞれ得手不得手があります。
設計において大切にしているものは、それぞれ違います。
住空間にどう取り組むかは、依頼前に確認することをお勧めします。
できた家や空間が
同じように見えても、それぞれ大きく感じが違い、
それは、住んでいく間に体感することになります。
使う素材や工法、工務店とのやりとりや監理方法、判断基準。
これまでの実例や発言から、人となりや人柄が見えてきます。
また、業務範囲のタイプがあります。
私たちのように戸建て住宅を中心に、集合住宅や中規模の複合ビルを手がける事務所。
住宅から広く都市計画まで手がける事務所。
住宅以外の中規模以上の建物を手がける事務所などです。
設計料も様々で、
建物のサイズ、仕上がりのグレード、施工技術の難易度などによります。
だいたい総工費の10%前後で
延べ面積が小さくなると割高になり、大きくなると掛け率が下がります。
インターネットでの検索やポータルサイトでの検索、
雑誌や書籍、テレビ番組などでの情報収集で候補を見つけることができます。
似たような事務所がたくさんあって、どこに声をかけたら良いかわからなくなるかもしれません。
それでも、検索や情報収集を数日やっていると、ご自分たちの好みや方向性が、言葉にならないまでも、見えてきます。
同じ感じの写真に思わず反応してしまったり……。
いくつかの「○○な感じ」という好みが見えてくると、しめたものです。
すると、それぞれの設計事務所の感じもなんとなく見えてきます。
まずはどこでもいいので、とりあえず気になるところに連絡をして、話を聞いてみてください。
敷居が高いイメージがありますが、実際はまったくありません。
どこの事務所でも無料相談をやっていると思います。
ハウスメーカーや工務店ほど営業熱心ではありませんから、訪ねてきたり催促の電話があったりすることも(少)ないと思います。
ですので、お気軽に。
弊社でも随時、無料相談お受けしています。
無料相談はお気軽に
無料相談の内容は、建主さん次第です。
何も決まっていないが、家を建てたい人
そろそろ家を建てたい人
「土地探し」から相談にのって欲しい人
住宅展示場で違和感を感じた人
自分らしい住宅を手に入れたい
ハウスメーカーの仕様では満足しない方
リフォームして両親と一緒に暮らしたい人
とにかく、丁寧に話を聞いてほしい人
……などなど
具体的なことはこれからの方も、初歩的な疑問をお持ちのかたもいらっしゃいます。
対応内容は
土地が決まっていなければ、一緒に探してアドバイスをしたり、
土地が決まっていれば、簡単なプランを作ったりと、事務所によって様々です。
プラン作成は、有償のところもあるようですが、弊社では初回無料提案いたします。
理想のイメージをお伺いし、まだ形のない希望を、ひとつひとつ形にしていきます。
相談時の希望をもとに、具体的な敷地に対してご提案します。
2週間ほどお時間をいただき、簡単な平面図、立面図等と模型で提案をいたします。
提案時には、大凡の総工事費やスケジュールなど家づくりのイメージもお伝えし、第一歩へのお手伝いをいたします。
その後、ご自宅で検討いただき家づくりのパートナーをお選びいただきます。
設計契約後に基本設計・実施設計
弊社の場合には、無料提案で家づくりのパートナーとして適切かどうか判断いただきます。
案そのものはこれから詰めて行ったり、修正・変更していくことができると思います。
むしろ、言葉が伝わるか?
価値観を共有できるか?
信頼関係が築けるか?
が、ポイントになってきます。
きちんとコミュニケーションが取れる設計事務所と契約してください。
前に進むのが難しいなと思った時は、率直にそう言っていただくのがよろしいかと思います。
何れにしても、時間をかけて判断されることをお勧めします。
さて、依頼先の設計事務所が決定すると、設計契約を結ぶことになります。
その後契約すると
家づくりの大枠を検討する「基本設計」。
希望に沿って改めてプランニングします。
設計事務所ですから、変形敷地や旗竿状敷地、高低差がある土地でも柔軟にプランニンできます。
細部ではなく、間取りや全体の方向性を検討していきます。
それが収束していくと、具体的なことを詰めていく「実施設計」に移ります。
ここで住宅設備や仕上げを決めていき、見積りを取れる状態にひとつひとつ調整していきます。
細かな建主の希望を形に具体化していくプロセスです。
限られた2〜3の選択肢から選ぶのではなく、充分に検討した上で好きなところからチョイスすることができます。
キッチンや収納棚、床・壁・天井の仕上げなど諸々。
もちろんこれに並行して、建主さんはお金の話も進めている必要があります。
(この辺りは後日改めて。)
設計をもとに見積りを
そして、それもまとまってくると、いよいよ工務店選びです。
このプロジェクトにふさわしい工務店を、設計事務所が建主の立場で一緒に探します。
基本、相見積り(あいみつもり)とし、複数の工務店で見積もりを取る形式が多いです。
複数の工務店に参加してもらうことで、価格の市場性や適正化を測るのが目的です。
一方で、単独の工務店を指定し、単に見積りを依頼するだけでなく、細かい打ち合わせをしながら進める方法もあります。
実際、相見積もりが価格競争を招き、工務店同士の不当な価格競争を招くこともあります。
これはからならずしもbestではありません。
それに極端に難しい工事や珍しい住宅設備でなければ、設計者が工務店のグレードや価格感を把握でき、正しい見積りとなります。
見積書は数十ページに渡るものとなります。
設計事務所は、工務店は図面が理解できているか、工事方法は適切か、工事項目の拾い漏らしはないか、それぞれの単価は適切か、などを細くチェックしやりとりします。
そうした細かい見積もりチェックと調整がしっかりとした工事に繋がっていきます。
工事監理は週一定例
見積もり調整が終わり、金額的に落ち着いてきたら、工事契約です。
工事は通常、設計事務所ではなく工務店が行います。
ですから建主は工務店と契約することになります。
ここまでの流れはすべて設計事務所が建主をサポートします。
そしていよいよ着工です。
地鎮祭、上棟式など行事も検討が必要です(これらも後日書きたいと思います)。
設計事務所はその工事が図面通りかあるいは、法律に則って施工がされているか監理し、発注者である建主の権利を守ります。
建主さんと設計事務所の信頼関係が物をいいます。
最初にお話ししたように、信頼関係がなければ良い家づくりには至りません。
通常、監理の様子は監理レポートを設計事務所が作成し、建主さんにお渡しします。
工事が終了すると、お待ちかねの引き渡しとなります。
これがざっと設計事務所との家づくりの流れです。
2021/05/22 佐藤 勤 記
この項了
次回、5月25日(火)に更新予定です。