建築家・相川直子+佐藤勤さんのブログ「ハウスメーカーから考える家づくり」
ハウスメーカーから考える家づくり
2021/05/10 更新
第二回のこのコラムで、広く「家づくりの入口」についてお話しました。
家づくりを始めるにあたっては、いずれにしても専門家に相談する必要があります。
ハウスメーカー、工務店、不動産系仲介、そして設計事務所等がそれにあたります。
家族のための住まいをみんなで考え、自分たちにあった家づくりの入口を見つけ、夢の住まいづくりをしていただきたい……でした。
もう少しここ掘ってみます。
依頼先はどこか?
住まいの取得でまず思いつくのがハウスメーカーでしょうか?
全国展開する企業も多く、幅広い営業網を持っています。
それから工務店。
それに私たちのような設計事務所。
さらに設計事務所や工務店を紹介するプロデュース会社。
「家づくり」って
webで検索してみるとIT企業系や不動産系のポータルサイトが上位に表示されます。
丁寧で痒いところに手が届くメッセージはさすが。
意外にフラットに書かれています。
どこもだいたい同じことが書いてありますが、とても勉強になります。
住まいの取得を考え始めると、他にも身近に結構情報があることに気づきます。
毎朝の新聞の折込み広告やポストに投函されるチラシなどは、
その地域の情報が載っています。
地元の不動産業者か工務店、あるいはハウスメーカーでしょうか。
「まずは、知人が建てたハウスメーカーで……」というお話もよく聞きます。
知人宅という実物があり、
知人という体験者の忖度なき話が聞けるので
大いに参考になるようです。
ハウスメーカーって?
ハウスメーカーにはいくつかのタイプがあります。
ひとつはみなさんがよくご存知の大手のハウスメーカーです。積水ハウス、セキスイハイム、大和ハウス工業、パナソニックホームズ、ヘーベルハウス、ミサワホーム、住友林業、三井ホームあたりでしょうか。
他にも地域の工務店が発展し、全国的に住宅販売を手がけるメーカーや、
フランチャイズで全国展開しているメーカーなどもあり挙げればきりがありません。
一方でパナソニックとトヨタ自動車のプライムライフテクノロジーズなどの新しい動きもあります。
何れにしてもハウスメーカーのメリットは、品質が均一化し、性能が安定していることでしょうか。
性能などパンフレットやホームページで詳しく説明されています。
そして、営業設計、工事、アフターサービスと一括請負となっているのも特徴です。
ここには大きな会社らしい、アフターサービスや保証の充実があります。
個人的に、世の中で流通している物の値段は、案外正直だと思っています。
値段の高さは、質の高さや、デザイン性の高さなどの付加価値の裏付けになります。
もちろん法外なものもありますが、
きちんとしたものには、
きちんとした値段が付いているように思います。
ですから法外なものには法外なものの背景=理屈があります。
そして、安いものには必ず安い理屈があります。
安いものは、価格が安く見えているだけで、実際には安価にできているだけのことがほとんどです。
当たり前ですがハウスメーカーの価格設定とは、
最終アウトプットがすべて検証された上で決定されているというところも肝ですね。
ちなみにハウスメーカーの住まいの価格には設計料や経費、広告宣伝費も含まれています。
そうしたものは渡される見積書の上には明記されていないことがほとんどです。
さらに「本社経費」、「支社経費」、「開発費」など、ちょっと理解が及ばない細目が入っていることあるようです。
ハウスメーカーの仕様の考え方
ハウスメーカーでは、仕様は決められたものからセレクトするのが基本です。
自由度は決して高くありませんが、
ある程度の「質」の保証はメーカーがしてくれています。
平均的に問題のない仕様、
あるいは多くの方が支持されるであろう仕様と
なっているという意味です。
しかし、それは、妥当かどうかはお客様次第です。
そもそもハウスメーカーでの家づくりでは、検討に取られている時間は限られています。
時間は限りあるものです。
もちろん限られた時間であらゆることは決定されるべきです。
それでも、「十分な検討の前に決断のタイミングが来る」という不満を
SNSなどで目にしたことがあると思います。
例えば、年始に今年の目標を「家づくり」とした場合には、
タイムアップでの決断では少し物足りないのではないでしょうか。
そんな細かいことは気にしないという方もいるかもしれませんが、
家づくりは、実はそうした細かいことを積み重ねることで、
日常的で普通に過ごせる状態が作り上げられていきます。
むしろ細かいことこそ、自分にしかわからないので、
自分で決定すべきでしょう。
ここでは誰かが用意してくれたものから選ぶのではなく、
ご自身の判断を優先させるべきだと思います。
住宅展示場は、
購入することができる住まいのうちで、
イメージやスケールの最高レベルのものが展示されています。
結構オプション仕様であったり
「参考商品」と明記されているようです。
ここには膨大な人件費や維持費がかかっているそうです。
モデルハウスに自身の家づくりを重ね合わせると、
「モデルハウスのように素敵にはならない」というのが
SNS上の風評ですがいかがでしょう。
他にも不整形地や旗竿状敷地、高低差がある土地は
対応できないケースがあるようです。
実際に断られたり、別の土地を勧められたりするようです。
何のため、誰のためかを考えて選択する
突然ですが、
健康食品のお店で安全を買うとき、安全であることはどうやって信じますか?
「安全」という理(ことわ)りのあるものは本当に安全なのでしょう?
そもそも「安全」は、
あなたの毎日の生活にどのくらい必要なものなのですか?
見えない「安全」を評価するのは大変です。
受け取り手の考え次第でしょうか。
「良い家づくり」はどこにあるのでしょうか?
一生に一度の家づくりは、どこまでいくと納得のいく「家づくり」になるのでしょうか?
近道はないですし、誰にでも当てはまる方法はないと思います。
ですから、誰かの判断に委ねるのではなく、ひとつひとつ自ら踏み込んで考え判断を重ねていくしかないと思います。
そこまでしなくともと思う方もいると思います。
それでも、タイムアップで最終判断をしなくてはいけない方法ではなく、
出来るだけ納得のいく方法を選択し、
同じ後悔をしながらできた家に住むにしても、
やりきったかどうかの差は大きいのではないでしょうか。
ご分自身の人生です。
よろしければ自分らしいこだわりを大切にするお手伝いさせてください。
まずは無料相談にどうぞ。
追記:今回はちょっと捉えどころのない話ですみません。
今後、大幅推敲の予定です。
2021/05/08 佐藤 勤 記,
この項了
次回、5月14日(金)に更新予定です。