建築家・相川直子+佐藤勤さんのブログ「あれ、捨てたんじゃなかった?/調布の家0」
あれ、捨てたんじゃなかった?/調布の家0
2015/05/13 更新
この住宅は完全分離型の二世帯住宅なので、何でも二世帯分ある。
完全分離というのは、それぞれ独立した世帯で生活でき、かつ
世帯がくっついていて必要な時には協力しあえるって感じ。
極自然に互いを感じることができ、かつ過干渉にならない距離感。
よって、日々は完全に別々に生活をしているのだが、
お休みの日にはお昼ご飯を一緒に楽しむことなんかができる。
とはいえ、お財布も冷蔵庫も別々だし、キッチンも浴室もそれぞれ。
もちろんトイレもそれぞれだし、玄関だった別々だ。
収納も双方にしっかりとした収納家具を持ち、かつ納戸がある。
プランをみていただくとわかるのだが、それなりにある。
荷物を見ながらの建主さんとの熟考の結果である。
ところが一般的に、暮らし始めてから冷静に考えられるが、
家づくりの途中で収納場所を想像するとみんな不安になる。
今ある荷物量を超えて必要に思えてくる。
いくらでもあった方がいいのではとさえ思うことにもなる。
でも、そうじゃあない。
まず、「今の荷物の量は一度頭からぬぐってください」。
でも、大概の人は不安に思う。
思った以上に荷物があって収納できなかったらどうしよう……。
持論だが、収納にはしまいながら使うことのできる適切な量があり、
そのために適切な収納の大きさがある、と思っています。
ある一定量を超えると収納したものに記憶が曖昧になってくる。
倉庫番でもいない限り、記憶には限界がある。
捨てようとどうか悩んで、結局どうなったかわからなくなったり、
そもそも、自宅での記憶なのか、実家でなのかが曖昧だったり、
あるはずなのに、どこにあるかがわからないということがある。
同じ文庫本を2冊買ってしまったり、同じDVDを借りてきたりして、
自分にがっかりした、経験はありませんか?
なので
「収納は、必要なときにすぐに思い出せるような量を
見えないものが発生しないような陳列方法でするのが基本」
とお話しする。