建築家・松尾和昭さんのブログ「北部九州の省エネ区分」
北部九州の省エネ区分
2014/01/08 更新
住宅の省エネルギー区分が「H11年省エネ基準地域区分」のⅠ~Ⅵまで分けられていましたが、「H25年省エネ基準地域区分」では1~8の区分に分けられます。
「住宅の省エネルギー基準地域区分」
http://ees.ibec.or.jp/documents/img/sheet1_chiikikubunzu.pdf
これによると九州福岡は
5が八女市(旧矢部村に限る)
6が福岡県のほとんどの市町村
7が福岡市(博多区、中央区、南区、城南区に限る)
と分けられています。
しかしこれは一体何を基準として決められているのか、情報がありません。
もしかしたら地域の日照時間のデータを元にしているのかと調べた所、福岡の日照時間は冬場の12-2月の間は東京より少なく、栃木や群馬の北部(栃木県那須塩原市や群馬県沼田市あたり)と変わりません。
http://app7.infoc.nedo.go.jp/colormap/colormap.html
その栃木の北部の那須塩原市方面や群馬の沼田市の地域区分は、H25年度ではどちらも「3」になっています。
ブロック紙の西日本新聞紙に、関東地方(神奈川県だったようですが)の人が夏に津屋崎という海沿いに惚れ込み、冬に利用する別荘として建物を購入した所、冬は東京よりも日照時間が短く寒さが厳しく驚いたとの記事が載っていました。
誠にこの方を気の毒に思います。
夏は東京地方より暑いので、さぞや冬場は温暖なんだろうと期待されたんでしょう。
冬の北部九州は雨や雪が多く一日中晴れることは冬場には非常にまれな天候ですので、冬場の外回りの工事には、こういう気候も計算に入れないと工程が狂ってしまいます。
私は長崎育ちですが東シナ海に面している長崎も冬場は同じような天気が続きます。
子供の頃からの習慣で、いまでもどんより曇って廻りが静かな冬の日は今日は正月みたいだなと思います。
さように福岡、佐賀、長崎などの北九州方面の冬は寒さも結構厳しいのにもかかわらず、地域区分では3ではなく5~7に設定されています。
省エネルギーの認定を受けるためにはその数値で計算すればいいことになりますが、これは上述したように冬場の北部九州は3並みの寒さがありますので、実体的には断熱スペックを3と同様に設定したほうがいいのではないかと思っています。
所詮地域区分の設定は、勉強だけしてきて頭のいい官僚とその御用学者が決めたことでしょうし、その連中が決めたことはそのほとんどが実体を伴わない机上の空論が多々あること(有明海の諫早干拓問題を見ても明らか)を考慮すれば、設計者の方でそれをカバーする提案をする必要があるのではないかと思います。
北部九州は越冬するための別荘地には向かないってことは理解できたでしょうか。
むしろ頻繁に揺れることを除けば、千葉が温暖で雨も少なくて良さそうです。
私がお世話になったご家族で、太宰府から千葉に仕事の関係で移住された方の年賀状にそのように書いてありました。
東京に住んでいた時も、冬場は風はからっ風でしたが、毎日、毎日スカッパレでした。
空が鮮やかなブルーだったことを思い出します。
コチラ福岡の冬場の空は、たまに青空が見えても雲が多くうっすら膜がかかったような青色です。