建築家・古後信二さんのブログ「自分自身を客観視できるか」
自分自身を客観視できるか
2013/07/23 更新
創業して16年目。法人設立して9年目になる。
統計によると、設立5年で約85%の企業が廃業・倒産し、設立10年以上存続出来る企業は6.3%。
設立20年続く会社は0.3%。
設立30年続く会社は、0.025% しかいないそうです。
設計事務所は、個人事業主の形態で営まれてる方が多いと思います。
個人事業主ですから、開店休業状態の設計事務所もあります。
法人化は一種のバロメーターではないでしょうか。
売上が一千万を越えるくらいから法人化を検討しはじめると思います。
当社も、2005年くらいにそのような時期を向かえ、有限会社化し、会社法の改正時期に、株式会社へと移行しました。
設立10年を迎えるのは2015年。あと、一年半ふんばれば、生き残った6.3%の企業という事になります。
そういったデータを見ると、世の中の経営者のみなさんはたいしたものだなあと思います。
設立25年とか設立50年とか、なみたいていの事ではありません。
どちらかといえば、建築家は経営者には向いてない部類の人種が多いように思いますね。
私も試行錯誤の日々が続いています。
創業して16年目。完成作品は70件を越えました。
当初、死ぬまでに50作品くらいつくれたら本望だなあ、というくらいの意識でスタートしています。
建築教育においては超マイナーな大分大学出身で、さほど優秀でもなかった自分に、建築家稼業という荒波は厳しすぎるハズと考えていましたし、実際に大分大学出身で建築家として生きていけている人は、片手で数えられるくらいでしたから。
ですから、今の状況は出来すぎといってもいいかもしれません。
上には上がありますし、建築のエリート教育を受けた、というほどのものもありませんので、気分はいつまでたっても飢餓感ばかり。まだまだ、全然できていない、と思っています。
しかし、よくよくふりかえってみれば、100件を越える受賞実績も出来ました。
ですから、明日交通事故で死のうが、末期ガンが発覚しようが、それほど後悔はありません。
ある意味幸せな部類でしょう。建築家業界の歴史にわずかながら爪あとは残せた。そう思います。
その程度でなにをいうか、とお叱りを受けるかもしれませんが、そういった気分なのは事実です。
依頼をいただける限り、毎回、これまでのなかでの最高傑作を目指しています。
毎回、それぞれの様々な状況がありますので、思うようにいかないケースもありますが、最大限の事はやっています。
よく言うのですが、建築は麻雀ににている、と。
最悪な配牌からのスタートで、最悪のツモの連続であっても、ふんばって、振込みを避けながらも、手牌づくりをあきらめず、タンヤオのみでもいいから上がる。そうすると、麻雀の神が御褒美として、裏ドラを乗せてくれる。
そういうような意識で取り組んできました。
これからもそのような姿勢でやっていきたいと思います。気が付けば、タンヤオのみでトップをとっていた。
そのような戦い方がローカルな建築家にはふさわしい、そう思います。
このように自己卑下をし続けている日々ですが、ときおり自分の作品パネルなんかを見ると、ああ、そこまで卑下することはないな、と思う瞬間があります。
また、偶然自分の作品の前を車で通った時、ワオ、と気分が向上する瞬間があります。
そこまで捨てたモンじゃないな、と思います。
こうやって、自己満足と自己卑下をくりかえしている今日このごろです。
自分を客観視するって難しいものです。
創業30周年を無事にむかえられたとしたら、ささやかなパーティーを開催したいなあ、と思う今日この頃。
0.025%の生き残りという事でしょうからね。
こういった厳しい時代ですから、一年毎に創業○○周年記念をやっておいたほうがいいかもしれませんが。