建築家・古後信二さんのブログ「パッシブハウスの勧め」
パッシブハウスの勧め
2013/07/16 更新
3.11以降、わたしなりにもいろいろと考える事も多い。
電力に依存しすぎる現代社会はいかがなものかと。
電力というアクティブなエネルギーに依存しないための家づくりとはどういうものか。
ソーラー発電というパッシブな力を活用する方向性は理解できる。
しかしながら、もっと電気に依存しない方法もある。
パッシブな力をふんだんに活用する住宅だ。
当社は、創業以来、パッシブデザイン手法をみがきつづけてきた。
温暖地においては、断熱性能を飛躍的にあげて、夏季の日射遮蔽と冬季の日射取得をうまくおこなえば、理論的には、冷暖房が必要ないという事がわかっている。
そして、電力の大半は温水をつくるために使われているという事実がある。
省エネの観点からすれば、電気温水器はナンセンスなしろものだという。
太陽熱で温水をつくるものに、瞬間ガス湯沸かし器をつけるのが、もっとも省エネらしい。
こういった事をおこなえば、月々の電力使用料は格段に下がる。
そうなると、ソーラーパネル設置する意味合いも薄くなってくるものだ。
導入すればしたで、イニシャルコストの早期回収ができるだろうが。
木造住宅においては、大体のプロトタイプが仕上がってきた。
木造の場合、内部の蓄熱量が少ないのが難点。
コストの事を度外視すれば、コンクリート造のパッシブハウスが最強という事になる。
そういった事の自己研鑽をつづけていたところ、そのような依頼があった。
なんと、30cm厚の外断熱コンクリート造という依頼だった。
その意欲的な住宅が今年の春に完成した。
豊岡の家2だ。
8月の一番あつい時期にオープンハウスを行う予定だ。
このような猛暑がつづく現在、冷房をつかわず、換気扇による微調整だけで、室温は24度を維持しているという。
冷房も6畳用のちいさなエアコンを補助的につけているだけだ。
パッシブハウスはいいかえれば、燃費のいい住宅という事になる。
3.11の教訓を家造りにとりいれるとすれば、最低限、燃費のいい家にしましょうよ、というのが、私の主張です。