建築家・古後信二さんのブログ「コートハウスの勧め」
コートハウスの勧め
2013/07/13 更新
私自身の好みの問題もありますが、できるだけ、平屋のコートハウスの提案を状況がゆるせば行うようにしています。
私の幼少時の環境からの影響だと思いますが、私の生家は大分県玖珠町という田舎町でしたが、メインの商店街の道路に接道しておりました。
田舎ですが、田舎で一番賑わいのある通りですから、開けっぴろげというわけにもいきません。
旗ざお状の敷地でして、細い通路を通ると中庭にアクセスし、そこから分棟形式で配置された住居に入るというものでした。
ちいさいころは、賑わいのある通りの喧騒を遠くで聞きながら、中庭でおもうぞんぶん、水遊びなどをしていました。
このときの記憶なんでしょう、道路との境界をブロック塀で仕切っているような庭はなんとなくチープな感じがしていましたし、
リビングの窓にレースのカーテンなども、違和感を感じていました。
平屋のコートハウスにする場合、それなりの敷地の広さが必要ですし、平屋の場合、建設コストがいくぶん上昇しますので、
なかなか実現しないケースが多いのですが、その魅力は絶大です。
最大のメリットは、完全なプライバシーの確保です。カーテンすら必要なくなります。
そして、中庭が室内の延長線上になりますので、実際の床面積よりも広く感じる事ができます。
非常に豊かな室内空間がうまれ、外観上もシンプルになり美しさもアップするように思います。
先般完成した鶴見の家は5つの中庭があります。
これは、中国の四合院形式の住宅に類似性があります。
沖縄の民家にも類似する形式がありますし、日本の農家住宅の配置などにも見られます。
日本の伝統的な生活様式に合致する形式ではないでしょうか。
広大な敷地につくられるアメリカンな住宅であれば、窓が外壁についていても違和感はありませんが、日本の土地事情では、外壁の窓が隣家の窓と向き合ってしまうケースもあります。
狭い敷地こそコートハウスが最適だと思います。
わずか30坪の敷地に建てられたi-CUBEシリーズなど、8畳スペースのライトコートがうまく機能し、快適な住環境を作り出しています。
あまり閉鎖的な外観にするのも地域交流にとって問題はあるかもしれませんが、余計な近隣トラブルを生まない効果もあります。
コートハウス、最高だと思いますよ。