建築家・安河内 健司 + 西岡 久実さんのブログ「古材の利用」
古材の利用
2012/11/09 更新
以前、傷みの激しい古い木造住宅を取り壊して
そこに新たに住宅を新築したいというご相談を頂いて、
設計をさせて頂いたことがあります。
古い住宅を取り壊す際には、木目が細かく、理想的な
乾燥状態の堅い古材に出会えるチャンスです。
この住宅の解体の際にも、そのような良材との出会いを
期待していましたが、残念ながら柱や梁などの構造材は
どれも傷みが激しく、再利用は難しい状態でした。
建て主さんは、古材の再利用については特に希望されて
いなかったので、無理に再利用する必要は全くなかった
のですが、永いことそこに住まわれてきたおばあ様や、
お父様、そこで育ち今は独立されているお父様の姉妹様
などの想いを考えると、何か残したくなって、
解体作業中の職人さんに無理を言って、急遽、中廊下の
地松の床材を少量ですが確保して頂きました。
柱や梁のような大きな材料ではないけれど、両隣の床板
をつなぐ接続部分(実〈さね〉といいます)もバリバリ
に割れていて、状態も決して良くはないけれど、
床という材料は人の身体が一番多く接した部分であり、
想い出の傷もたくさん付いている材料なので、
きっと何かに使えるはずです。
そこで、新しい家の完成時に、細やかなお祝いとして、
この床材を使った何かを贈ることにしました。
はたして、この古材が何に変身したのか???
つづきは、また次回書いてみます。