建築家・中村弘道さんのブログ「ポルト市のコンサートホール」
ポルト市のコンサートホール
2018/01/23 更新
ポルト市の2005年のOMA設計のCASA DE MUSICAは街のロータリーの際に建っているが、なかなかのデザインで素晴らしかった。中のプランも形態とは異なり構造的にもユニークな解決をしている。広場と下屋の関係、街との視覚的なバランスなどこのような設計を市がさせるというセンスはやはり欧州の建築家に対する理解のレベルの高さを感じるし、公共性のある建築の歴史的な意味合いをよく理解しているなーと感じた。日本の同類の建築にはこのように開けた公募によるデザインの採用がほとんどないのが本当にさびしい限りである。優秀な建築家のチャンスが乏しいのがあいかわずの現状である。若くなくても我も同様である。今回は1993年のポルトガル以来の探訪でしたが、道路インフラが素晴らしく整備され起伏の多い北部の豊かな環境となじんで景観設計もなされとてもスペインとは別の環境を創っているのには驚いた。
ちなみに外壁はコンクリート打ち放し、広場はトラバーチン岩のような形態のエッジは凹目地が切られていた。一日の光の変化で、建物の印象が刻々変化する様は飽きのこない建築といえるかと思う。