建築家・中村弘道さんのブログ「木について」
木について
2013/02/13 更新
西洋人の木に対する考え方と日本人の木に対する考え方では随分違う。日本は木そのものを楽しむという考
えだ。柱を立てて建物をつくることには技術がいる。外国のログハウスなどは木を横にして積み上げる。こ
れは技術はなくても素人でも作れる。木を本当に技術でつくり上げた人種は日本人しかいない。
1300年生き生きとしている法隆寺や薬師寺の木造建築がヒノキを使って現存している現実は多くのものを教
えてくれる。設計者がいなく、大工の経験と勘で、また道具も乏しい中で、大工の感で木の癖を読み建築し
た技術はまさに日本の木造建築の原点だ。学ぶところが多い。
コンクリートは持って50年~100年にも満たないが、木造建築は1300年持った。ヒノキが1300年生きつづけ
られるように建築も可能である。だが今の大工は大工ではなく、ただの道具使いである。木の心を読み取る
心を失っている。本当の大工さんはいなくなりつつある。文化がなくなっていくということだ。