建築家・西島 正樹さんのブログ「【まついハウス】が完成しました。」
【まついハウス】が完成しました。
2020/04/21 更新
【まついハウス】が完成しました。
彩かな色合いが感覚に語りかけ、空へ、庭への広がりが心を解き放ちます。
「平和と子どもたちの幸せ」を願い、人生を歩んできた家族の
これまでの歩みとこれからへの思いが込められた建築です。
ご覧いただければ幸いです。
http://www.prime-arc.com/86/86.html#
設計主旨
【まついハウス】の建主は、壁画家とパントマイミストの姉妹です。
2人は、数学教育研究者である父と、絵本・紙芝居作家である母、そして戦争の暗黒の中を乗り越え100歳まで生きた祖母が、命ある日まで暮らした家を建て直して、家族の皆が願い続けてきた「平和と子どもたちの幸せ」への思いを建築にこめたいと考えました。
そうした思いから、パントマイミストの住まいとともに、文化的、創造的な場を建築に組み込みました。
パントマイムができる空間、マイム事務所、壁画家のデザインしたステンドグラス、絵本作家である母の絵本や紙芝居などの展示スペースなどです。
家としての安らぎが感じられるとともに、創造の場として心が呼び覚まされるような空間の実現が空間のテーマとなりました。このことを最も凝縮した空間が、パントマイムも演じられる大きな吹抜のリビングです。
この空間を中心に、ダイニング等の生活空間や、マイム事務所などの仕事の場を展開しました。吹抜空間は上部の2面にステンドグラスを組み込み、その鮮やかな光が空間全体を包みこみ、心が空へと広がっていくような空間にしました。
パントマイムの客席ともなる階段は、空へと思いが導かれるように、軽やかに吹抜を上昇する形にしました。リビングの南は全面に庭が広がり、自然の世界へと自ずと心が開かれるような構成にしました。
室内は、日本の伝統的な色合いであるベンガラ色を基調に、利休鼠や群青色を交え、心が励まされるような色で彩りました。外観は、逆に渋い銀鼠色で統一しました。
静けさの中、内側の世界へと期待が高まるようなたたずまいが、訪れる人を迎えます。
光、風、緑という自然の移ろいと、色彩、造形といった人間の創造的な営みとが織りなす空間の中で、新たな自分を発見する、そういう日々をすごせる建築であってほしいと願っています。