建築家・藤田 敦子さんのブログ「うれしいお便り」
うれしいお便り
2019/09/08 更新
八月の終わりに、数年前設計させていただいたお家のお父さんからはがきが届きました。
お父さんは元学校の先生で、美術を教えていらした方なのですが
お父さんの好きなイタリアの画家、ジョルジョ・モランディの風景画。
はがきには、自分たちの家にはこういう絵が似合うと思うと書いてありました。
ジョルジョ・モランディ(1890-1965)はイタリアのボローニャで一生独身を通して生きた画家です。
やはり独身を通した3人の妹たちと暮らしていたそうです。
いろんな批評を読むと、「その暮らしはまるで僧侶のよう・・・」と表現されています。
画壇で脚光を浴びるとか絵が売れるとか
注目を集めることを好まず、ひたすら静かに創作する時間と暮らしを守り抜いて生きた画家なのだそうです。
モランディが描いたものはほとんどが静物と風景。
それも、アトリエにあるツボやピッチャーや瓶などを何度も何度も配置や手法を変えて描き続けました。
風景画もアトリエから見える何でもない風景ばかりです。
絵の具も当時の画家たちの多くが使ったチューブ入りの絵の具ではなく
鉱物や土から採った顔料にこだわっていたそうです。
私もモランディが好きです。
おこがましいかもしれないですが
私の取り組んでいる家づくりの根本で目指しているものと色々共通するものを感じたりもします。
メキシコの建築家ルイス・バラガン(1902-1988)もモランディと同時代を生きた人ですが
バラガンも私は大好きで。
この人も一生独身で過ごし、僧侶の様であったと評されることも多い人です。
建築に対する考え方や静かで簡素な生き方が好きなのです。
この二人、外見もちょっと似てます。二人ともとても背の高い面長の顔立ちです。
お父さんからこんな素敵なはがきを頂いて
そしてモランディがお好きだと知って私はすごく嬉しくなったのでした。
今度お家に伺ったら、絵やもランディのこと、たくさんお話ししたいなと思います。