施工業者だからできる「コストバランスのとれた家」
小井土正(株式会社カクイホーム)
デザイン、実用性、耐久性など、家に求められる要素は多い。それらをめぐって限られた予算の配分を考えるのも建築家の仕事だ。小井土氏は、施工業者としての経験から最適のコストバランスを導き出す。
インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部
──設計事務所との違いを教えてください。
設計だけでなく施工もやることですね。私はもともと施工業者だったのですが、建物のデザインにも興味があり、設計もするようになりました。現在は、新築住宅やリフォームで、デザインから施工までをトータルで手がけています。
──施工もできることで、どんなメリットがありますか?
最大の強みは、コスト管理ができることです。施工費がはっきりわからないまま図面を描くのではなく、常にコストにどう影響するかということを考えながら、デザインすることができます。
デザイナーさんに設計してもらうと、施工が難しくなり、作業が増えてコストがかさむ。しかも強度も低い。このようなケースが出てくるのですが、当社の場合、常にコスト意識を持ってプランニングしているので、安心です。
また、施工の視点があることで、デザイン性だけでなく機能性や耐久性、耐震性のバランスがとれた家を作ることができます。
格好いいだけではなく、実用的で安心して暮らせる家ができるということです。
──デザインにおいて心がけていることはありますか?
出過ぎたデザインはせず、必ずコストに合ったデザインをするということですね。
格好良さも大切ですが、家のデザインとは、コストバランスや実用性、耐久性、安全性を含めてのものだと考えています。
そんなデザインを提出するためには、お客さんの話をじっくりよく聞いて受け止め、咀嚼することが大切です。
提案するときにも、施工担当としてコストがどう配分されるかも説明できるので、お客さんも安心してくれます。
──コストと言えば、リフォームも注目を集めています。
リフォームにも、施工のノウハウが活かせます。元になる家の施工の良し悪しが判断し、古い構造などのいい部分を活用したリフォームができます。低コストで耐久性のある建物になるわけです。
つまり、新築もリフォームも、施工業者の視点があれば、コストバランスのいい家ができるのです。
小井土正(株式会社カクイホーム)
1969年 埼玉県生まれ
1991年 専修大学経営学部卒業
1992年 株式会社カクイホーム設立
事業の範囲は設計から施工まで一貫して社内で管理し、提案をしてゆくスタイル、
自身が現場監督であった経歴を生かし、デザインと共に施工監理も大変重要視している。
木造軸組、2×4、鉄筋コンクリート造を得意とする。