省エネで心にも体にもいい「光と風を感じる家」
福地直子(美創ホーム)
日本中で節電が行われているこの夏、住宅の温度調節機能にも注目が集まっている。エネルギー不足の中、冷暖房頼りでは快適な生活を続けることは難しい。そんな状況に対し、福地氏が提案しているのが、「光と風」をテーマとした家。省エネで健康的に暮らせる家だ。
インタビュー、構成:建築家O-uccino編集部
──建築家をめざしたきっかけは何ですか?
昔から家具やインテリアが好きだったのですが、自宅マンションをリフォームしたとき、すてきな仕事だと思ったことがきっかけですね。当時、もう結婚して子供もいたので、ファッション関係の仕事と家事、育児のかたわら、夜間学校に通って、体をこわすくらい猛勉強しました。
──住まいのどのような点に関心があったのですか?
リフォームしたとき、空間をこんなに居心地良くできるのかと驚いたんです。やはり、誰でも自分の家に戻ったときはホッとしますし、本当の自分に戻るような感覚がありますよね。建物やインテリアも含めて、家で人生は楽しく豊かなものになります。私は家づくりを通じて、そうしたことを目指しています。
──福地さんが考える「いい家」とはどういうものですか。
理想の家というのは人によって違うので、施主様の意見を大事にしたいのですが、私なりに言えば「光と風を感じる家」です。明るくて風通しのいい家は、まず気持ちよく過ごせる。それに結露やカビに悩まされることもない。「光と風」は、住む人の心にとっても、体にとっても、いちばん大切な要素だと確信しています。
──具体的にはどのような技術を使っているのですか?
日本の過酷な夏と厳しい冬に耐え、エアコンなしでも快適にすごせる温熱環境にすぐれた家として、新築では「ソーラーサーキット工法」という建て方をおすすめしています。リフォームでは、最新技術を使った塗料で断熱効果を高めるなど、さまざまな技術を組み合わせて、暑さ寒さに悩まされず、結露やカビの心配がいらない家にします。
──デザイン的にはどのようなことに気をつけていますか。
新築はもちろんのこと、リノベーションでも、機能的なことのほかにデザインを入れる面白さを求めていきたいと思っています。たとえば、同じ部屋でも、角をやわらかくしたり、質感を変えたり、タイルを組み合わせたりすることで、中にいるときの感覚は変わります。より広く感じたり、住み心地も変わるわけです。
──細かい工夫を大切にしていますね。
最新の技術を使って、機能的にすぐれた家をつくることはもちろんですが、デザインの面でも、常に「+α」の提案をするように心がけています。
福地直子(美創ホーム)
1986年より建築業務に従事 1991年 二級建築士免許取得 1998年 1級建築士免許取得 2009年 同社代表取締役就任 その他、設計業務以外にも「CASBEE戸建評価員」、「耐震診断士」などを取得し、戸建て住宅の性能評価に積極的に取り組んでいる。